早坂紫苑 〜ハヤサカシオン〜

 桜野美沙さん。僕がアイドルを目指すきっかけとなる人物で今は同じ事務所の先輩である。


「早坂さん、良いお知らせがあります」


「良いお知らせ? 何ですか?」


「クリスマスライブについてなのですが、プロジェクトの枠を超えたクリスマスライブ特別ユニットを組むことになりました」


 プロデューサーはそう言ったが、僕にはいつも通り仕事内容を報告されているだけにしか聞こえなかった。


「その話は嬉しいですが、それの何処が良いお知らせなんですか?」


「早坂さんにとってはここからが良い話です」


 プロデューサーは一息置いて言った。


「スプリングスの桜野美沙さんとユニットを組むことになりました」


「え?」


 驚いた僕にプロデューサーは改めて同じことを伝え、その企画について懇切丁寧に話してくれたが、僕は嬉しさのあまり話のほとんどが頭に入っていなかった。

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