本田茜 〜ホンダアカネ〜

「茜、暇ならコンビニまで飯買いに行ってくれ」


「は、はぁ? 何でワタシが‼︎」


夜になり人が少なくなった事務所に突然本田茜の声が響いた。


「そこまで大声を出して断ることないだろ。暇じゃないならこんな所にいないでさっさと帰れ」


「言われなくてもそうするっての」


強気な態度でそう言った茜だったが、プロジェクトルームを出て行こうとはしなかった。


「帰るんじゃないのか?」


「帰る。帰るって」


そうは言ったが、茜はやはりその場を動こうとはしなかった。


それをみた川野流はニヤリと笑い、


「そう言えば茜はお化けが怖いんだったな」


そう言った。


「そ、それは今関係ないでしょ‼︎」


茜はそう反論したが流は茜を煽るように


「関係無いならどうして帰らないんだ?」


とニヤつきながらそう言った。


「うぐっ」


「暗いのが苦手なくせに遅くまで残るなっていつも言ってるだろ。少し待ってろ」


流石に涙目になってしまった茜を煽るのは可哀想だと感じた流は行っていた作業をキリのいいところで切り上げると机の上に無造作に置かれていた車の鍵を手に取って茜と共に駐車場へ向かった。

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