第115話 花火

「昨日の花火すごかった! 朝ここに来るまで花火のこといっぱい聞かれたよ~」


クリリは店に入ってくるなり言う。

どうやら花火は気に入られたらしい。この世界にも花火は存在する。ーー例のごとく値段が高く品物としては三級品。

もちろん百均の花火も私から見れば品質はいいとは言えない。火薬の量が少ないのか物足りないものもある。昨日は百均で500円で売ってる花火を買ったので多少良かったと思う。


「本当はロケット花火も売りたかったけど、一気に広げるのもよくないから次にするよ」


「ろけっと花火?」


「そうロケットみたいに.......ってロケットがないから説明しにくいな。うーん。上に上がってポンと花火になるのよ」


私に説明に首をかしげるクリリ。自分でもよくわからないから仕方ないか。


「今度孤児院の広場でやってみよう。広い所でないと危険だからね」


「うわー! みんな喜ぶよ」


「あのあたりは民家が少ないから大丈夫だと思うけど、夜だと音が響くから騎士さんたちには報告してたほうが良いですよ」


さすがコレットさん。たいした説明しなくても音が響くってわかったみたい。


「私はチャッカ◯ンが気に入りました。花火つけるのにもいいけど、他にも色々使えそうです」


魔法が使えるからチャッカ◯ンどうかなと思ったけど売れそうだね。



『カラン、コロン』


「「「いらっしゃいませ」」」


ドアが開く音に揃って声をかける。


「なんだ。タケルかぁ~」


入ってきたのはタケルだった。


「いつもより早いね。今日は朝ごはんも食べるの?」


「いや、ご飯は食べてきた」


「今日はえのきの味噌汁に明太子が売ってたからそれもあったのに、そっかぁ食べてきたのか」


100円コンビニで明太子売ってた。前は100円の商品しか買えなかったから売ってなかったみたい。最近プリーモ商会にいっぱい商品売ったからレベルが上がって100円コンビニでも500円までの商品が買えるようになった。買える数も1日20個までになってた。

弁当も買えるようになったから今日のお昼は弁当にしてもいいかな。


「えのきの味噌汁に明太子? 動いたから腹減ってたんだった。食べる、食べるよ」


やっぱりね。絶対明太子食べると思ってたから、取り置きしてたのよ。1人だけ食べたってまたクリリがいじめられたら可哀想だからね。


「た、タケルさん。それって何?」


クリリがタケルの足元を見て聞いてる。ん? そういえば何かいる。


「そうだった。猫が手に入らないと夕飯作ってくれないって言ってたから急ぎで手に入れたよ」


ねこ? いやいや、猫にしては大きいでしょう。ドーベルマンくらいありそうだよ。


「にゃ?」


私と目があうと猫(?)が首を傾げた。かわいい~かわいいよ~~。アメリカンショートヘアのような柄に緑の瞳。毛は結構深いような気がする。うんうん。いいよ~。

でもタケルは夕飯の件まだ気にしてたのね。私はすっかり忘れてたよ。だって本気出さなかったらって言ったと思うのよね。勝たないとダメって言ってないよね?









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