第25話 缶詰を売ろう
開店から一週間、やっと落ち着いてきました。といっても本を読んでる暇はまだないです。
ショルトさんたちも昨日から来てません。雇える人探してくれるって言ってたけど、どうなったのでしょうか? できれば年齢が近く話し相手になる人がいいですね。
明日は定休日ですからゆっくり休めそうです。でも昼ごはん作りに孤児院に行く予定です。
「ナナミさん明日カレー作りに来てくれるの?」
今朝クリリが聞きにきました。明日が定休日って人から聞いたそうです。
「大丈夫だよ。でも孤児院の場所がわからないから迎えにきてね」
「うん。9時くらいに迎えに来るよ。みんな楽しみにしてるんだ」
あんまり期待されてもね。インスタントカレーなんで、そこまで美味しくないですよ。本物のカレーを知ってる私には今ひとつです。
「この鯖缶ってなんなの?」
騎士みたいな格好をした男の人が首を傾げて聞いてきます。
「魚を味付けして保存できるように缶に詰めたものです」
「へえ。保存食か。どのくらい持つんだ?」
「缶詰にすると3年は大丈夫です。10年でも大丈夫ですが、味は多少変わってきますね。まあ、美味しく食べたい人は1年以内に食べてください」
「すごい技術だな。1年でもすごいのに3年、10年とは…。買うんで食べてみてもいいか?」
「どうぞどうぞ」
缶詰開け方を教えながら、開けてあげた。使い捨てのフォークも渡した。もう少し落ち着いたら、試食でもしようかなと考えてて、フォークはその為に店に用意してたんです。役に立って良かった。
「これは.....すごすぎる。魚の生臭さがとれて、まろやかな仕上がり、それに味付けまで...保存食なのに塩漬けされた魚より美味しいとは......」
なんだか自分が褒められてるみたいに嬉しいです。
「こちらの焼き鳥はサービスするのでこちらも食べてみてください」
焼き鳥も進めてみます。
「おおー。これも格別。今まで食べたことのない味だ。これは王都に帰るのにいい土産ができたぞ。カップラーメンとか言うのを土産にと思ってきたのだがこれもいけるな」
騎士さんは結局、鯖缶20個、焼き鳥缶20個、カップ麺20個、ジュース10本、飴10袋、タオル20枚、オールド眼鏡2個、マヨネーズ10個とたくさん買って行きました。
「またこの街を通る時に寄らせてもらおう」
「ありがとうございます。是非またお越しください」
ここは王都に近いから土産に買われる人が多いですね。通り道になる閉店は一応18:00。人が並んでた時は遅くなってたけど、今は時間が来たら閉めてます。後2時間で閉店。明日の休みの為に頑張ります。
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