うたかた

水底から水面へ

澄んだ瞳は見上げていた

清水は身体を毒し

人の汚れを剥ぎ取っていく

彼女の口から言葉が漏れ

泡が昇っていった

それもやはり毒され溶ける

分裂して見えなくなる


うたかた

言葉は儚く

うたかた

彼女は弱く

うたかた

不変などない


水面から水底へ

澄んだ光が差し込んでいた

清水は日光を通し

底の現実を浮かばせる

彼女の身体は崩れ

ところどころから空気が漏れる

脂を含むそれは皮肉にも

彼女の望んだ水面へと


うたかた

消える物あらば

うたかた

消える者あらば

うたかた

それは何を遺しただろう

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