第4話
*
「あの~……」
「なんじゃな?
腹でもすいたのか?」
「いえ…そうではなくて……
その……俺がどうしてここにいるかを知りたいっていうか……」
老人は、俺を違う部屋に案内して、そこでお茶とお菓子でもてなしてくれた。
ハーブティーなのかなんなのかはわからなかったけど、俺が今まで飲んだ事のないちょっと変わった味のお茶で、お菓子も甘いのは甘いんだけど、やっぱり今までには食べたことのない味だった。
「あの壷はここに繋がっているらしいから、そのせいじゃろうなぁ……」
「はぁ、なるほど……って、そうじゃなくて!
壷からここに繋がってるって、どういうことなんです!?」
「どういうって……
なんでも、先祖が陰陽師だか祈祷師に術をかけさせたとかなんとか……
うん、そうじゃ…確かそういう話じゃったような……気がする……」
老人は腕を組み、瞼を閉じてゆっくりと頷いた。
「陰陽師って一体いつの時代の話なんですか!
それに術をかけさせたって一体どういう……」
「わしも詳しいことは知らん。
なにせ、昔のことじゃからな。
ただ、あの部屋…さっき、おぬしがおった部屋じゃが、あそこと壷は明らかに繋がっており、以前にも一度他所の世界からの人間が迷いこんだという話が残っておる。」
「……他所の世界……?
ま、まさか……」
まさかまさか……ここが異世界だとでも言うのか?
あの壷とこことは繋がっていて、俺は異世界に飛ばされたって……
「だ、だけど、おじいさんは俺の言葉が通じてるじゃないですか!
この家の構造もこのお茶やお菓子も、俺のいた世界にあるものとそう変わらない。」
「そんなことは、わしは知らん。
そもそも、異世界だったら言葉が通じんとか、習慣や文化が全然違うという決まりでもあるのか?」
「そ、それは……」
俺だってそんなこと知るもんか!
でも、こんな微妙な違いで異世界って言われてもピンと来ない。
とはいえ、驚く程激しく違って、言葉も全く通じなかったら、今ほど冷静ではいられなかったかもしれないけど……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます