第211話 祖国への帰還【店内での出来事】

 お店に入ると思ったより女性向けのお店の中だと解る。ヒメちゃんを見た店員さんが、急いでこっちに来てくれる。


 「オーナーどうされました?」


 「いつもなら予約を入れておこしに下さるのに、視察ですか?」


 「いやデートで来たので客じゃよ?」


 「あらあらまあまあ……」


 「おめでとう御座います」


 「有難うと言ってもまだ返事待ちなのじゃがな?」


 「その殿方とは、後に居る方ですか?」


 「そうじゃよ?」


 ヒメちゃんと店員さんが、どうやら念話しながら何かを話しているご様子なのは、解るのだが何故かたまに来る顔が真っ赤なお二人は、何を話しているのかが凄く気になった。


 「ハク待たせた!」


 「ヒメ様いつものお部屋でいいですか?」


 「そのつもりじゃよ?」


 「お布団……」はと、「あ!」しまい忘れたので、ちょっとしまってきますので、先に言ってて下さい。


 あたふためく店員さんが席を離れる――


 「ハクよ?」


 「でわ、まいろうか?」


 私は、エスコートするようにその場所へと案内してくれる。初めて来たはずのお店なのに私の心が解るかの様になりました。


 「これも…愛の力て事なんですかね?」と心の中でうっかり呟く……


 私は、ヒメちゃんを手を握りながらエスコートして、部屋へと向かう。なんでか返事を聞けないまま練習の様な一日を過ごす。


 「あのヒメ様もう少しで、準備が整いますので…少しお待ちください」


 「ふ~むその間ハクとなにかしら話しでもしておるかの~」とまったりした気持ちで、話すつもりがついつい……


 気合の声が聞こえるヒメ様だった。結局いつから始める事と行動制限についてとの話合いなどを緩やかに語る。


 「さっきの話のお返事ですが、この件が落ち着いたらお返事させて下さい!」


 この件とは、親父の件が問題なく終わったらて事だろうけど、そんなの元々もっと先に延ばして考えてからでも良かったのに、何故か店に来る間に、一人で何やら妄想を膨らましていた様子だった。


 指を地面につけて、ゆっくりとお辞儀をする。何かの習わしなのか? 普段見れない真の顔が見れる。ま、でも何だかんだ言っても可愛くて、このまま結婚したらハーフの子供が出来るのかな?


 そんな事を考え乍らゆっくりとヒメちゃんを抱きかかえる。ヒメちゃんは、少し抵抗をするも直ぐに諦めるタイプと解る。


 「こんな所で、いちゃついているのもあれなので……」


 「席にでも座って、私の母親の出会いなどを聞かせて下さい」と話を始めると振り返る様に話し始める。

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