第2話
俺は文書官に命じて、国中の女を後宮に入れるという命令書を発布した。それから、後宮では、女は全員、全裸ですごすことを命令した。が、守る女はいない。
俺が国中から女が集まってくるのを待っていると、家臣たちが、
「王子、今はまだ、時期尚早です」
などといっている。何をしているのだろうか。そもそも、命をかけて魔王退治をする勇者に女を不自由させるなど、最初の町がまちがっている。勇者は、最初の町で女を品定めして、厳選した美女と旅に出るべきであり、美女がその気であるなら、最初の町から動く必要もないのである。魔王が来るのを待っていればいい。それで、手下の兵隊にでも、魔王を退治させればよいのである。勇者とは本来、このように行動するべきであり、他の勇者たちはみんな頭の悪いアホどもである。
世界を救うのだ。世界中の女を手に入れて当然であろう。
それで、後宮の女たちが、
「勇者さま、ここは立ち入り禁止です」
などといってくるから、蹴っ飛ばしている。まったく、おれが勇者だとわかっているのか。クソ女どもが。
てめえらは、まんまんを俺に向けて並んでいればいいんだよ、クソが。
「おい、大臣、女は集まったか」
俺が大臣を詰問すると、大臣は、
「勇者さま、いろいろと手間取っておりまして。どうか、くつろいでお休みくださいませ」
などといっている。
俺は、
「城の女を連れて来い」
と命令したが、誰も命令を聞くものがいない。
「姫さま、まだ、時期尚早です」
という声が聞こえたので、お姫さまがいるのかと思って、
「おい、この国の姫なら、当然、勇者である俺のものだろうが」
と叫んだのだが、誰も相手にしてくれない。
姫らしき者を探して、俺は近づいていった。
「おい、姫。この国の女の味試しが終わるまで、おまえが俺の相手をしろ」
と命令したのだが、
「勇者さまなんてお断りです」
とそっぽを向いて、立ち去ろうとしやがった。
俺が怒って、服を引きちぎってやろうとすると、ばしっと一撃、俺を叩いて、走って逃げていった。
「なんだと、この野郎。俺は勇者だぞ」
と文句をいい、
「国中の女は集まったか」
と文書官を叱責した。
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