幸せの靴

この靴を履いた人は、幸せになれるらしい。


そんな触れ込みで世に出回った靴があった。皆が喜んでその靴を履き、どんどん幸せになっていった。世界中が幸せになったはずだったのだけれど、唯一靴を買えない貧しい人達だけは、幸せではなかった。



・・・・・・本当にそれは、正しかったのだろうか。靴を買った人達は、自分達が幸せになったと思いそれ以上の幸せを求めることをやめてしまった。けれど、靴を買えなかった人達は、自分なりの幸せを探し続けていた。誰かがポツリと呟く。


「彼らは靴を買わなくて、幸せだったね」

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