童心に変身

(1)



 龍之介さんが着替えると場は騒然となった。

 猫神様、姫香、私は興奮。

 文さん、九太郎、蘭丸は笑ったり笑うのをこらえようとするあまり奇声を上げていたりしている。


「あとはこの眼鏡と腕時計をつけるよう。なに、これは私からのプレゼントだ」


 猫神様は顔を赤く染めながら(興奮しているのが丸わかり。神様でも興奮するらしい。良いのか悪いのか……)プラスチック製の箱に入った腕時計と新品の眼鏡ケースに入っていた黒淵の眼鏡を龍之介さんに手渡した。


 本人はと言えば、もうどうにでもなれ、とばかりのやけくそ感が漂うが、しかしそれでも大好きな猫神様に弄ばれているのが満更でもなさそうに「腕時計は左手でしたね」とか猫神様とやり取りしている。


 微笑ましかった。

 違う意味でも微笑ましいが。


 想像してみてください。

 長身痩躯のイケメンが見た目は子供、頭脳は大人の格好をしているのだ。

 足が長いのなんの。

 細いのなんの。白いのなんの……。

 そう、下半身だけ見ても興奮する。

(それはコスプレさせているから、という興奮以外も加わっている)


「な? 目覚めるだろ? 女装とかさせたくなるだろ?」

「なります」

「なりますわ」


 思わず姫香と意気投合。しかし互いに声が揃ってしまった事実に、私たちはまたまた揃って「げー」なんて言ってしまう始末。


「あはー、案外あんたたちも相性いいかもね」

「まさか」

「こんなでか胸なんかと」

「はいぃ?」


 いがみ合うライバルたちを横目に猫神様は次の獲物への服を選んでいた。


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