第2話




「こ、こんにちは…」


私は、また文さんの家に向かった。




「おぉ、ちょうど良かったにゃん。

今、呼びに行こうと思ってたところにゃ。」


出迎えてくれたのは猫の姿になった文さんだった。




「え…?私を…」


「まぁ、とにかく入るにゃ。

九太郎が買ってきた温泉饅頭でも一緒に食べるにゃん。」


文さんが、饅頭をほおばりながらそう言った。




「ど、どうも……」


言われるがままに家に入り、いつもの茶の間に向かった。

相変わらず、やたらと長い廊下を歩いて…

部屋の中には、龍之介さんと九太郎がいた。




気まずい…龍之介さんの顔がまともに見られない。

あ!パッド入れて来るの忘れた!

……って、この平原のことはもうバレてるんだし、今更焦っても仕方ないか。




「ほい。」


文さんは、饅頭をひとつ、私の前に置いた。




「今、お茶をお持ちします。」


九太郎がその場から立ち上がった。




私はうつむいたまま、饅頭にそっと手を伸ばして、ぱくりとかぶりついた。

うん、よくある温泉饅頭だ。




「めぐみ、話は蘭丸から聞いたにゃん。」


「え…?」


「さっきの胸…蘭丸の悪戯だったらしいにゃ。

それならそういえば良かったのにゃ。」


「え…そ、それは……」


「蘭丸には、きつく言っておいた。

ここにもしばらくは出入り禁止にしたにゃ。」


「えっ!?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る