第2話
*
「ただいま~」
「あ、おかえりなさい。」
家に帰ると、九太郎が出迎えてくれた。
河童が出迎えてくれるなんて、かなりありえない状況だけど、すでに私はそんなことにも違和感を感じなくなっていた。
「あら?お風呂にでも行かれてたんですか?」
「うん、文さんと銭湯にね…」
「そうですか、では冷たいお飲み物でも用意しましょうか?」
「ありがとう、お願いするわ。」
九太郎の奴…けっこう気が利くな。
茶の間に向かうと、庭に洗濯物が干してあるのがちらっと見えた。
九太郎、洗濯もしてくれたんだ……
……んん??
「う、うわぉっ!!」
私は焦って庭に飛び出した。
だって、そこには私の、ブ、ブ、ブラジャーが……!!
しかも、ご丁寧にパットもはずして干してある…!
「あがーーーー!」
私は、目にも止まらぬ動きで、まだ湿ってるブラジャーとパットを取り込み、座布団の下に隠した。
「お待たせしました。」
ちょうどそこへ冷たいコーヒーを持った九太郎が入って来た。
「せ、洗濯はしなくて良いって言ったでしょ!」
「え…ええ、そうですが、けっこうたまってましたので…」
「あのね…私はこれでもうら若き乙女なんだから、下着を外に干したりしちゃいけないの!」
「そ、そうだったんですか…申し訳ありません。
今までここにあなたのような若い女性が住まわれたことはなかったので…」
九太郎は、私に叱られてしょんぼりとしている。
ちょっと言い過ぎたかな…
「ま…そ、そういうわけだから…」
「わかりました。」
九太郎は、そう言って、外に視線を移す…
「あの……」
「なによ?」
「あれは…あのままでよろしいのでしょうか?」
「え?」
九太郎が指差す先には、いちごもようとピンクのふりふりおパンツが風に吹かれていた。
「あがーーーー!」
私は再び、庭へ飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます