小生小説講座『空想の種』

『私の父はドラえもんだったのです』


 もしこの一文で始まる小説を書くとして、皆様方ならば『どんな展開』を思い描くでしょうか?


『父はドラえもんのように様々な道具を出していた』


 大勢の方はこう考えると思います。


『父はドラえもんの声真似が上手かった』


 また別の人はこう考えるかもしれません。


『父はドラえもん関連の仕事をしていた』


 こういう展開もあるかもしれません。


『父親代わりがドラえもんだった』


 あるいはこういう発想もあるかもしれません。


 一つの『空想の種』から『無数の妄想』を飛ばす。

 これが我々(作者と読者)の持つ能力であり悪癖である『空想力』です。


 もちろんこれはただの『種』でしかありませんので、ちょっと『芽』を伸ばしただけでは一つの物語として完成することはありません。


 そこから『どんな物語を生み出すか』というのが作者の力量になります。少なくとも小生は『私の父はドラえもんだった』という一文から一つの物語を作れなさそうですががが(汗)


 まあ、今回の『ドラえもん』というのも『てけとー』に選んだだけなのであれですが、作家の『辻村深月』氏は『凍りのくじら』という作品でこの『ドラえもん』を作品の軸の一つとして物語を完成させました。参考までに。


 もちろん『私の父はドラえもんだった』というような少し変わった文章だけが『空想の種』ではありません。『空想の種』は日常のありとあらゆる場所にあります。


 例えば『自転車を必死に漕ぐ少女』という光景を日常で見かけたとして、皆様ならそこに『どんな物語を空想する』でしょうか?


 その答えは一つではありません。

 そこから紡がれる物語も一つではありません。


『世界に物語を見る』


 というのが作家の性です。

『たった一つの切欠で名作が誕生する』というのは珍しい話ではありません。


『寂れた公園のベンチでうな垂れた少年』

『道端に座っている少女』

『星空を見上げる中年男性』


 日常で見かけるかもしれない何気ない光景。

 それがもし物語のワンシーンだったとしたら。


『貴方はそこにどんな物語を空想するでしょうか?』


 まあ、その『空想』から物語を『完成』させるのが本当に難しいわけですががが。

 一つの空想から物語の完成までに十年以上かかるということもあります。


 今の自分に『それは書けない』と寝かせておく作家さんも多いようですね。

 そこが小説の難しさでもあります。空想だけではなかなか小説は書けませーン。


 まあ、『空想』だけではなく、『論理的思考』も会得するといいかもしれません。

 そこから分かる事実を一つ一つ積み上げていくという奴ですね。


『シャーロックホームズ』が依頼人の職業を当てるような感じです。『こういう空想を書くためにはどういう要素が必要なのか』を理解する必要があります。『九マイルは遠すぎる』系統の物語なんかも『空想』の参考になるかもしれません。


 ミステリーならさっきの『自転車を必死に漕ぐ少女』から殺人事件の犯人が分かったりするわけです。どうやったらそうなるかは各自自分で考えましょう(笑)


 まとめ


『空想の種はありとあらゆる所にあるあるヨ』

『中二病上等じゃ。空想を飛ばせ』


 ま、こんな感じで。

 最初のうちは何気ない空想でも物語として書いてみるといいかもしれません。


『道端に落ちている手袋から始まる物語』とか。

 短編で何作も書くと良い経験になるでしょう。


 経験を積めば書かずとも『どの空想が面白くなるのか』というのも掴めるようになるかと。『この空想なら何ページぐらいの作品になる』という作家として必要な能力も磨けるかとかと。


 久しぶりに真面目なことを書いたら頭が痛くなってきたので終わり。

 きゃぱが、きゃぱが。グリッドマン面白いです。


<完>

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