ミステリー界を取り巻くエトセトラ
ツイッターを盗み見していたら小生の名前が出てきてしまったので、急遽企画を変更します。これで盗み見していることがバレてしまうかもしれませんが、まあ、仕方がありませぬ。人生そんなものである(汗)
話の焦点となるのは、
『WEB小説(ミステリー)を書籍化させることができるか?』
ということになります。
その結論を先に書きますと、
『難しいけど不可能ではない』
と思われますデス。
ただ調べてみても数は少ないようです。
有名な書籍化作品を挙げるならば、
『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(エブリスタ)
『薬屋のひとりごと』(なろう)
この二つぐらいかな。小生は両方とも読んだことがありませんが、評判は以前から聞いていましたネ。
ただ両作品とも『キャラクター小説』としての評価も込みのようなので、『ミステリー小説』としての評価は分かりません。キャラクター同士の掛け合いが面白いというのが、両作品に共通した評価のようです。
こんな感じで、書籍化することは難しいですが、生き残ることは更に難しいというのが今のWEB小説(ミステリー)の現状でしょう。そのため、出版社も積極的に書籍化するという傾向にはありません。
そもそも、今の時代『ミステリー小説』がなかなか売れないわけです。
今売れているのは『ミステリー風のキャラクター小説』です。
『キャラクター小説として面白い』という前提のうえで成り立っている『ミステリー小説』という本末転倒のような、そうじゃないような感じです。
『シャーロック・ホームズ』だって『キャラクター小説だろ』と言われてしまいそうですが、こちらの場合は『キャラクター小説としても成立するミステリー小説』なので微妙に違います。
残念ながら、今の読者には『ミステリーし過ぎている作品』はあまり求められていないように感じます。昔は『トリック100点、物語0点』なんていう表現もあったのですが、今はそういう物語はあまり受けないでしょう。
そのため『日常の謎』や『専門分野の謎』というような『殺人事件』とはあまり関係のないミステリー作品が流行し易くなっています。もはや登場人物が『一人一人殺されていくようなミステリー小説』は主流ではないようです。
ただ『殺人事件』を扱うようなミステリー作品が無くなったかというとそうでもなく、『刑事ドラマ』などの『映像作品』に人気がシフトしてしまったと考えるべきかなーと思います。
『相棒』や『科捜研の女』などの長期シリーズだけではなく、『作家アリスシリーズ』や『貴族探偵』などの新しい方向性も模索しているようです。海外ミステリーの日本人版なども製作していますね。
最近見た中では『シリーズ・横溝正史短編集』は面白かったですヨ。
見ていると頭がくらくらしてくる不思議な作品でした。
こうして『殺人事件』という大きな要素をテレビドラマに取られかけている『ミステリー小説』ですが、彼らも別に死に絶えたわけではありません。
『周木律』氏の『堂シリーズ』
『井上真偽』氏の『その可能性はすでに考えた』
『青崎 有吾』氏の『裏染天馬シリーズ』
など、新しい風もちらほら吹いています。
まあ、相変わらず好き嫌いが分かれる話ばかりですけど(汗)
他にも『ライト文芸(ミステリー)』の台頭もあり、『ミステリー界』自体は活性化しているように感じられます。
更に『ライトノベル』でも『ミステリー風ライトノベル』というジャンルでならば(過去に)ヒットした作品は幾つもあります。
そんなわけで、『ミステリー小説』自体はむしろ現状追い風になっている部分があると推測できます。様々な形に変化しながらも、新しい道を模索しているような状況といえるでしょう。
ですが、なぜか『WEB小説(ミステリー)の書籍化』は少ないわけです。『異世界ファンタジー』が強いという理由もありますが、単純に書籍化させたい編集者が少ないということだと思います。
もっと直接的に言ってしまえば『WEB小説』に『商品価値』を見出している『出版社(ミステリー系)』が少ないということです。推測を重ねるなら『新人』自体をあまり求めていないのかもしれません。
売れるか分からない『新人』を起用するよりも、ある程度ファンがついている『プロ』を起用する。もう『新人発掘』という言葉自体が古くなってしまったのかもしれませんね。
少なくともWEB小説を読んでまで『新しい才能』を求めている出版社は少ないようです。残念なことですが、仕方がありません。
『今いるプロだけでも出版業界は成り立っている』のですから。
昔のように『冒険する必要性』も少なくなったわけです。
『リスク管理』は会社経営の基本でございます。
もちろん今後状況が変化する可能性は十分にありますが、あまり期待しない方がいいでしょう。まあ、誰かが『ヒット作』を生み出さない限り、『重い腰上げない』というのはどこの分野でも同じことですネ。
現状では『カクヨムコンテスト』での『ミステリー作品の受賞は難しい』ということだけは確実だと思います。
ただ今後『ミステリー作品』だけのコンテストが開催される可能性もありますし、他の出版社からの『拾い上げ』がくる可能性も否定はできません。こればかりは出版社とか編集者の動き次第ですので、小生には何とも。
個人的な意見になりますが、小生が読んだ中だけなら、
『王子様は一級死亡フラグ建築士』(WEB小説ミステリー)
『ジャンピング・ジャック・ガール』(青春ミステリー)
『ネッ禁法時代:東京試炸例』(スリラー(サスペンス)系ミステリー)
この三つが『書籍化したら購入するんじゃないかなー』と思うぐらい面白かったです。ただ『ライトノベル向き』なのは『王子様は一級死亡フラグ建築士』だけのような気もします。
『ジャンピング・ジャック・ガール』は『創元推理文庫』などのちょっと大人向けのミステリーレーベル向きかと。『ライトノベル』や『ライト文芸』でも書籍化はできると思いますが、メインとなる読者層からずれ易い気がします。
『ネッ禁法時代:東京試炸例』は『一般文芸作品』として書籍化した方が受け入れられ易いと思います。少なくとも『ライトノベル向き』の作品ではありませんね。『ライトノベル』として出すにはしっかりし過ぎている作品です。
小生は読んでいないだけで、他にも面白い作品はあると思います。
興味がある方は自分で探すがよろし。
お宝は自分で見つけるものでふよ。
さて、『ミステリー界』にも様々な流れが生まれているため、今後どうなるのかというのは分かり難いですが、一つの流行としては『女探偵(謎解き役」)』が増えてきているように感じますね。
昔は『女探偵』というのは少なかったのですが、最近では『平凡な男性』を視点主とした『魅力的な女探偵』ものが増えてきているように感じます。恋愛要素を絡めたりした作品が多いですネ。
まあ、『ライトミステリー』に多い設定なので、『探偵』ではないことが多いんですけどね。『探偵』という設定自体が今は減少傾向にあります。
ついでにいえば、その逆の設定も増えてきましたね。『平凡な女性』を視点主とした『美形探偵(男)』とか。昔は『男と男』のペアが多かったのですが、最近では『男女ペア』が主流になっているように感じます。
小生も『ミステリー界』からは離れてしまっているので、現在の流れを完全に把握しているわけではありませんが、確実に変化は訪れているような気がします。
その流れが『WEB小説(ミステリー)の書籍化』という場所まで辿り着くかは不明です。基本的に小生は部外者ですし。どこかのお偉いさんが『WEB小説のミステリーが面白いから書籍化するぞ』とでも言えば、一気に流れは来るでしょう。
うーむ、やはり『書籍化できるか』というのは『運』だよね(爆死)
その作品に『賭けてくれる出版社の方』がいるかということでしょう。
公募に受かった作品が確実に面白い(売れる)というのも『幻想』ですし、読者から受ける作品だったとしても『完成度』が高いとは限りません。
『売れた後』に売れた理由を考えることは可能ですが、『売れる前』に売れる理由を考えるのは至難の業というわけです。ネット上で読者の感想を読んでいると、マジでそう思いますよ。皆感じていることがバラバラなんだもん。
知名度が高い作家さん以外の本を出版するというのは一種の賭けです。
どうしても安全策を選びたくなるというのは、会社としては当然のことでしょう。
ま、流れを見ながら臨機応変に対応していくしありませんネ。
そもそも『WEB小説投稿サイト』だって『カクヨム』だけではありませんし、別の場所に投稿したり、別の『WEBコンテスト』に参加するというのも新しい手でしょう。『一般公募』だって選べる道の一つです。
書籍化できるかは『運』ですが、その『運』を引き寄せるための活動はできるんじゃないかなーと思います。
もちろん地道に活動を続けることも、その『運』を引き寄せるために必要なことです。今WEB小説で有名な方々も、それこそ『何年』も活動しているわけですから。物語の中のようなサクセスストーリーというのは、現実では難しいのです。
というお話でした、
結論は先に書いておいたのでこれでおしまい。
個人的にはあまり『書籍化』に拘りすぎても良くないとは思います。
『書籍化する』というのは結果に過ぎないからです。
その『過程』をどうやって歩むのかというのは『作者様次第』でしょう。
『道』は以前よりも増えました。でも、完璧ではありません。
小生に言えることは『良きカクヨムライフを』ということだけです。
ここでの『経験』がまったく無駄ということはないでしょう。
それを『どう活かすか』というのはそれぞれが考えるべきことです。
ま、小生としては『ミステリー界』が『WEB小説』を取り込んで活性化してくれればいいなーとは考えています。
そうなるかもしれません。
そうならないかもしれません。
小生はそれを外から眺めて、その結果を楽しむだけでございます。
終わり。
<思ったよりも長い文章デスタ>
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