24 季節/嘘ばっかり

季節/嘘ばっかり


 輪郭がずらされ昇る熱帯夜(夏)

 偽者が映える野中の雪祭り(冬)

 囚われた獣の腹に革命歌(秋)

 気配りの記憶初めて食べる芹(春)


 廃屋の炬燵に放射能、眠る(冬)

 薄闇に毒づく沈丁花、紅く(春)

 羽虫追う虹色の蝙蝠、飛んで(夏)

 擦り切れた布団に埋まる茸、狩り(秋)


 偶像が空からぬらり落ちる夏

 神経の制禦壊れて溜まる冬

 改行を繰り返しつつ毟る秋

 ずぶずぶと絵本に足が沈む春

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