第25話 泳げない部長

翌日は、午前中はパート別練習。昼食は、基地の広大な食堂でボリューム満点の食事をとる。デザートに桃が付いていたのだが、

その桃の皮の剥き方を「胸に何やらバッジがたくさん付いた偉そうな人」が


「桃はな、こうやって・・・」


と講釈してました。

しかし、田舎の子やから、経験でそんなこたあ知ってる。

切り分け方と、素手による、剥き方がある。

それが正しいかどうかは、どうでもイイのだが、

私は今でも、素手による剥き方を貫いています。


午後は合同練習の予定であったが、


なんと、

音楽隊・隊長の提案で、基地内のプールで水泳と決まってしまった。

このプールが、学校のプールとちがって、おそろしく深いのです。

元々は呉の旧日本海軍の施設ですから、色々な訓練に使用するために水深も背が付かない程に深いのです。ポンタは、大喜びである。

Cは、泳がないということなんだです。

F先生は、あまり乗り気じゃなかったようです。

理由は、事故を起こしたくないという気持ちもあったのでしょう。

我々男子部員は、Cを除く全員が参加しました。


 「Cは、泳げなかったんか?」


ケッカン

 「25m位は泳げたと思うけど」


オレ

 「止めといたほうがエエと思うで、

  Cだと溺れるかも知れんぞ・・・なんや深そうやし」


 「泳げないから見学すると言わんところが」


ケッカン

 「可愛げの無いところ」


結局、たいして練習もせんと、楽しんだ合宿だったわけです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る