第12話 生き返る婆さん
身投げ岩にまつわる話は、伝説的な話まで入れると、たくさんの噂話が語られています。それも人から人への噂話ですから伝言ゲームのように大げさな話になったりします。お婆ちゃんが身投げをしたとかです。
「え?その婆さん、昨日見たよ」
というオチだったりします。
人の噂は無責任なものなのです。
身投げ岩の話は、**会社の社長がチェーンソーで自殺したとか、かなり身の危険を感じる話が多いのも事実です。地縛霊の仕業なのかは不明だが、毎年のように、そのあたりでは人が死ぬような場所です。私が、そのころ目撃したのは、身投げ岩の下流50m位の水門での事です。夏の終わり、台風前の小雨の日に泳ぎに行ったのだが、水門が半分開いていて身投げ岩の近辺はとっても危険な状態だった。
その時にすでに何人かが泳いでいたようなのですが、1人が流されていたらしい。
そう見えました。水門が閉まっている時は、ダム状態になっているため流れは、ほとんど無い場所なのだが、今日は渦巻くような激流になってる。そのうち泳いでいたうちの1人が岸にたどりついて何か叫んでいる。
「やっぱり流されてる!」
ケッカンとKとオレは、土手の上を川下に走った。
経験で下流の方は普段から流れが早いので先回りをしたかったのです。
K 「あのまま行くと水門に吸い込まれるぞ」
オレ 「警察に知らせんと・・・」
ケッカン「もう知らせに行っとる!」
今も、目に焼き付いてるのはバタバタさせていた姿が水門の上流2m位の箇所で、「すっ」と消えた。その後どの位時間がたったのか覚えてないが消防署からハッピ姿の救難員がアルミのボートと一緒に着いた。水門上流を捜索している。他の人も下流を指差して消防団の人と何か話しているのだが依然と水門上流を捜索している。
なんでだ!?
K 「帰ろうか・・・・」
オレ 「・・・・・・・・」
ケッカン「・・・・・・・・」
ますます風雨は強くなって集中豪雨になってきた。
その後1週間もして6Km下流で発見されたというのを朝の全校集会で校長から聞かされました。結局、今まではなんとなく黙認されていた身投げ岩周辺での遊泳が、この時から「完全禁止」になった。
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