フィンランディアへの道

高林 洋市

第1話 セピア色の教室

中学生時代は、今やセピア色です。

小学生の頃から地元の警察の道場に通う少年剣士だったので部活は「剣道部」と決めていた。ところが入部そうそう怪我をしてしまいました。練習中に割れた竹刀の破片が坊主頭に突き刺さり、少しだけ傷つきました。それで終われば、なんの問題は、なかったのですが、後日、腫れ上がってしまったのです。剣道防具から雑菌が入ってしまい傷の箇所が膿んでしまったのです。


実は、剣道部の防具というのは、ちゃんと管理しないと細菌だらけになってしまうのです。丸洗いが出来ないので、定期的に殺菌するなどするとか、陰干しとかしてきれいな状態を保つ必要があるのです。古い防具などは、放置状態だったのです。新入生は、そういう怪しい防具を割り当てられていました。


入部してからすぐに、頭部の傷から細菌が入って頭部の中心部が「ぷっくり」と「たんこぶ」のように腫れあがったため、面を付けられないので、休部です。結局、地元の外科医院で膿を切除という結果になりました。防具を付けられないのでブラブラしてると、ブラバン(吹奏楽部)から「少しだけ手伝って」と音楽室につれていかれ、おもむろに「ラッパ」を渡されたんですね。そりゃ「コルネット」というトランペットより小ぶりに見えるラッパ(実は、管の長さは同じでB♭楽器)です。


「これを、あっちの教室で音が出るまで練習してて・・」

と有無を言わさずです。


「なんでわしがブラバンなんかせにゃならんのや」と、

ブツブツ言いながら、


「プッスー!」


という調子で放課後の誰もいない西日の差し込む教室で練習してたのです。

音楽室では、なにやら景気の良いマーチが遠くに聞こえてきます。


この情景が、今でもセピア色に思い出されます。

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