陽光と帰途

かつてトマト

陽光と帰途

拝啓、眩しくて悲観的な視界へ。




日陰を避けるように縫って歩いた

煙を吸い損ねたんだ

僕だけが一滴の露に吊るされた


死角は面や角や、んから始まる単語にだってある

芽は新しい甲羅を割るか?君は否定できない。


鈍器に囲まれて目が覚めた日は、

ある脚を閉じた虫と同じ夢を見た日


白物家電は病気で、

麦茶と風鈴は億劫で、

君はフロンガスになる勇気を持たない。


風が吹いて、冷たい車輪を陶磁器が回す。

蝙蝠が誤作動なら、

全ては閉鎖に至るのかもしれない。


深い深い塵から見付けられる砂金は、

雨の日にだって

羽根の回らない日にだって

起き上がって

どんな笑顔をしていた?


階段だって軒下に住みたくはないのに

謂れのない履歴と、決して破裂はしない朝日


三度止まって、そのための命

鏡はもう僕を見ない

四度終わって、全ての木の芽

鏡はもう僕を見ない


朝日に祝福されて尚

目を閉じるのは怖いこと

心臓に繋がる糸を引かれないように

泡立つように寝返りを打つ


目を閉じる口実を探して、太陽を見た

閉ざしたから詰め込むんだ

時々、溜め込んだものが噴き出した


柔らかな布地も、

袋小路の壁も、

消費されたくなかった何かも、

僕にとっての誰かになれるだろう。


海のような街の、クロルカルキの空に飛び込む。




小さな僕が削れて転がる、

君の長いエンドロールに。

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