或る一日

結露した硝子の向こう滲む色世界は今日も曖昧模糊だ


絹めいた水面は揺れど不透明 静まり返るミルク珈琲


朝食の入る隙間が減るほどに溜まってしまったものの正体


憂鬱も吐き気甘えも無気力もファンデーションで塗り潰す、蒼


イヤホンが耳に押しこむバラードの旋律苦しまた早送り


ぽっかりと黒い口開け待っている睡魔手招く夕刻電車


夕焼けの赤い光に誘われて西へ行きたい綺麗な場所へ


車窓から眺める空にぽっかりと電球でなく浮かぶ満月


赤色に刹那静まる交差点前後左右に行き止まる夜


コンビニのシュークリームにかぶりつき「こんなに安い幸福」思う


零時半肌を流れる水滴の行く先思う狭い浴槽


焚く香の細い煙を眺めつつ呼吸の流れ考えている

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