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回文短歌風(五十首詠)


界隈の居酒屋で会い角で待て都会あでやか賽の祝いか

かいわいの いざかやであい かどでま(て とかいあでやか さいのいわいか)


常に訊け何時も気取るな開発は如何なるときも追撃に熱

つねにきけ いつもきどるな かいはつ(は いかなるときも ついげきにねつ)


波と夜か島と砂場と娘の目「住む」と話すと「マジかよ」と皆

なみとよか しまとすなばと むすめの(め すむとはなすと まじかよとみな)


矢は鳩に喜連川の夜飛び過ごす一夜の別れ月に問はばや

やははとに きつれがわのよ とびすご(す ひとよのわかれ つきにとはばや)


寛いで雉や残るか夏以来繋がるこの野四季で色づく

くつろいで きじやのこるか なついら(い つながるこのや しきでいろづく)


川光り土地住む兄も若やかや川面に浴むす千鳥か鶸か

かわひかり とちすむあにも わかやか(や かわもにあむす ちどりかひわか)


蘇り鎖す蔓は異の墓場野茨透かす悟り絵か御世

よみがえり とざすかずらは いのはか(ば のいばらすかす さとりえかみよ)


邪教と魔死の咲く村に狐憑き睨む草の路惑う善き香具師

じゃきょうとま しのさくむらに きつね(つき にらむくさのじ まどうよきやし)


遠く波筋兜に世見た夜よ民世に問ふか沈み泣く音

とおくなみ すじかぶとによ みたよる(よ たみよにとふか しずみなくおと)


10

軽く問ひ遂に儚く訪れず遠く半ばに何時人来るか

かるくとひ ついにはかなく おとずれ(ず とおくなかばに いつひとくるか)

2016/04/21 画


11

燃えさかりこの薔薇指すか尽きた詠気づかずさらば残り香さえも

もえさかり このばらさすか つきたう(た きづかずさらば のこりがさえも)


12

雪濁り君探る夜に戸惑いと窓に寄る草見切り湖に消ゆ

ゆきにごり きみさぐるよに とまどい(と まどによるくさ みきりこにきゆ)


13

香具師や夜に馬蘇りぬばたまのまたは塗絵か見よ舞う如夜叉

やしやよに うまよみがえり ぬばたまの(またはぬりえか みよまうにょやしゃ)

2016/04/12 画


14

瑞垣の久しき時ゆ見続けつ罪行き時し寂びの樹霞み

みずがきの ひさしきときゆ みつづけ(つ つみゆきときし さびのきかすみ)


15

「どんな娘か、確かめようと、つい寝るね」いつ問う嫁が、「した過去、何度?」

どんなこか たしかめようと ついねる(ね いつとうよめが したこなんど)


16

まさか過去?いまこの時はラジカルか知らば帰途の娘、迷子が風間

まさかかこ いまこのときは らじかる(か しらばきとのこ まいごがかざま)

2016_02_12

2016/04/25 画

17

さすが兄野猿混ぜては、いざ酒さ! 最果て迫る さ、野に明かすさ?

さすがあに のざるまぜては いざさけ(さ さいはてせまる さのにあかすさ)


18

ミストレス遠き時から死撒きに来猿、鍵解き、脅すれど、棲み

みすとれす とおきときから しまきに(き ましらかぎとき おどすれどすみ)


19

いないかい?砕く力が強い甥、四つから家畜抱く以外ない

いないかい くだくちからが つよいお(い よつからかちく だくいがいない)


20

孤独な身、役目住む人、語る、見る 高飛び娘、悔やみ、泣くとこ

こどくなみやくめすむひとかたるみ(るたかとびむすめくやみなくとこ)


21

さすが弟子朝夜で気負い月掛けか?きつい掟よ!さあ仕出かすさ

さすがでし あさよできおい つきがけ(か きついおきてよ さあしでかすさ)


22

最後の子母引き攣るさ、期する夜 過ぎ去る月日、母子の恋さ

さいごのこ ははひきつるさ きするよ(る すぎさるつきひ ははこのこいさ)


23

三ヶ野原桑木流るる河黒く分かるる金氣病葉の神

みかのはら くわきながるる かわくろ(く わかるるかなき わくらばのかみ)


24

乱れ髪祖妣より別れ民何処と実垂れ変わり世潜み枯れた身

みだれがみ そひよりわかれ たみどこ(と みたれかわりよ ひそみかれたみ)


25

疫は舞い遠退き途絶え何時の世の費えた時の音いまは消え

えきはまい とおのきとだえ いつのよ(の ついえたときの おといまはきえ)


26

遠ざかる鷹夜の舞で役示し消えて今の世語る風音

とおざかる たかよのまいで えきしめ(し きえていまのよ かたるかざおと)


27

疎ましい波と去る船磯の夜の添い寝ふるさと皆遺志惑う

うとましい なみとさるふね いそのよ(の そいねふるさと みないしまどう)


28

泉の屋美しい声歌謡う田植え恋しく痛夜呑み吸い

いずみのや うつくしいこえ うたうた(う たうえこいしく つうやのみすい)


29

宵街にいま遠ざかり扉から独り風音毎日毎夜

よいまちに いまとおざかり とびらか(ら ひとりかざおと まいにちまいよ)


30

もく拾い奴ら語るか罪の名の見つかる宝艶色退くも

もくひろい やつらかたるか つみのな(の みつかるたから つやいろひくも)

↑ 2015/01/08 画アリ

2016_02_26


31

春霞西白雪の川辺りへ若の木ゆらし死に身縋るは

はるがすみ にししらゆきの かわべり(へ わかのきゆらし しにみすがるは)


32

完璧な世にも似たるか満ち足りた魑魅カルタにも二夜なき変化

かんぺきな よにもにたるか みちたり(た ちみかるたにも によなきへんか)


33

薬飲み主去った日だ年の瀬の此土旅立つさ死ぬ身のリスク

くすりのみ ぬしさつたひだ としのせ(の しどたびだつさ しぬみのりすく)


34

鳴る神の声のみ聞きし問いかけが愛しき君のエゴの実刈るな

なるかみの こえのみききし といかけ(が いとしききみの えごのみかるな)


35

悔い残し涙流るる過去厭い焦がるる彼方孤児の逝く

くいのこし なみだながるる かこいと(い こがるるかなた みなしごのいく)


36

魂の響きや画家も死に泣くな虹も輝き日々の意志また

たましいの ひびきやがかも しになく(な にじもかがやき ひびのいしまた)


37

春たてば花とや見らむ鶏冠朱里村宮戸名は果てたるは

はるたてば はなとやみらむ とさかあ(か さとむらみやど なははてたるは)


38

花兄の眼澄む村雨に身が清き神に召さらむ娘の池か

かけいのめ すむむらさめに みがきよ(き かみにめさらむ むすめのいけか)


39

一嵩の闇とっぷりと変わりおり若鶏ふっと宮之阪飛び

ひとかさの やみとつぷりと かわりお(り わかどりふつと みやのさかとび)


40

死んでいた生まれ遠い夜まさやかや彷徨い踊れ舞う大天使

しんでいた うまれとおいよ まさやか(や さまよいおどれ まうだいでんし)


41

何度舞う戸惑い悩み孤独吐く「琴宮ない」と惑うマドンナ

なんどまう とまどいなやみ こどくは(く ことみやないと まとうまどんな)


42

師が叱る弟子と子何度舞衣着いまどんなことしてるかしかし

しがしかる でしとこなんど まいぎぬ(き いまどんなこと してるかしかし)


43

仮夜斐の蔦がめさらむ飛鳥とひと村雨が立つの日和か

かりよひの つたがめさらむ とびとり(と ひとむらさめが たつのひよりか)


44

まったりとひと村雨が立つ功徳蔦が召さらむ飛鳥立つ間

まつたりと ひとむらさめが たつくと(く つたがめさらむ とびどりたつま)


45

感動の湯船浮く品奇異の目の粋な時空ね冬の饂飩か

かんどうの ゆぶねうくしな きいのめ(の いきなじくうね ふゆのうどんか)


46

才試しギターあっさり爪弾く日祭りさツアー抱きしめたいさ

さいためし ぎたーあつさり つまひく(ひ まつりさつあー だきしめたいさ)


47

意見かい?盛大出来た結婚後告げた気でいた異性関係

いけんかい せいだいできた けつこん(ご つげたきでいた いせいかんけい)


48

控訴避け姉がどんなに阻もうも母に何とか値上げ誘う子

こうそさけ あねがどんなに はばもう(も ははになんとか ねあげさそうこ)


49

若き名も世界恥じ医師流れ揺れ悲しい芝居風もなき河

わかきなも せかいはじいし ながれゆ(れ かなしいしばい かぜもなきかわ)


50

村区切るあの舞誰が月の夜の気づかれた今野歩き眩む

むらくぎる あのまいだれが つきのよ(の きづかれたいま のあるきくらむ)


 回文短歌風(五十首詠)(01-50)

 https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054880522793


 回文短歌風(選外)五十首詠(51-100)

 https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054881403074


 回文短歌風(その後)五十首詠(101-150)

 https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054882112373


 回文短歌風(目指せ二百首)五十首詠(151-200)

 https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054922073949


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