ハロウィン仕様~IFルート・サージェスティン×幸希編~

 ※過去に、WEB拍手で公開していたものです。


 サージェス

「さぁ、ユキちゃん!! 今月はハロウィンイベント開催期間だからねー。IFルート仕様万歳で、仲良くイチャイチャ……あれ?」


 幸希

「すー……すー……」


 ――パーティーの準備を終え、とある一室に来ていた幸希とサージェス。

 しかし、愛しの少女はまさかの……、ソファーの上で寝落ちである(笑)

 切ないサージェス……、ソファーの下に正座し、幸希の寝顔を見始める。


 サージェス

「あのー……、ユキちゃーん? 本気でおねむなのかなー? IFルートイチャイチャのお時間なんだけど……」


 幸希

「ん……」


 サージェス

「キスしたくなるような可愛い寝顔だけど……、このままだと俺、君の事を見てるだけで終わっちゃうんだよねー」


 幸希

「……むにゃぁ」


 サージェス

「可哀想だけど、IFルートイベント・ハロウィン仕様と、色々オイシイ想いをしたい俺の為にも、起きて貰わないとねー……。ユキちゃん、ユキちゃんっ、起きてー。朝じゃないけど、朝だよー。おっきしようねー」


 幸希

「……んっ、……あ、さ」


 サージェス

「よし、ちょっとずつ覚醒し始めてるね。ユキちゃーん、ユキちゃーん」


 ――サージェスの呼びかけに反応し、ゆっくりと目を覚ます幸希。

 とろんとしたブラウンの瞳で、意識が夢と現実の狭間辺りを漂っている模様。


 サージェス

「おはよう、ユキちゃん。(と、言っても、本当は夕暮れ近くなんだけどね)」


 幸希

「お……あよう……ござい、ます」


 サージェス

(おや、起きたばかりで寝惚けてるね……。そんな舌ったらずで挨拶されると……お兄さん的にちょっと困っちゃうかなぁ)


 幸希

「ん~……、ふあぁぁ……、すみません……。ちょっと準備で忙しくて、つい……眠ってしまってました」


 サージェス

「いいよ。俺の方こそ起こしちゃってごめんね? 本当は寝かせておいてあげたいんだけど……。ハロウィンイベント指令が出てるから、少し頑張って貰えるかな?」


 幸希

「……いえ、ふあぁ……だいじょ……うぶ、です。えっと……、ハロウィン、でしたよね。そういえば、サージェスさんは、お医者さんの仮装なんですね?」


 ――頭を横に振り、どうにか目が覚めた模様の幸希。


 サージェス

「仮装っていうか、俺、医者も一応職業のひとつだし、あまり面白味がないんだけどねー。一応危ないお医者さんって事で、血糊が散った白衣を支給されたんだけど、もうちょっと捻りのある仮装が良かったと思うよ」


 幸希

「でも、よく似合ってますよ。いつもと違って騎士服じゃないのも新鮮ですし。だけど、何処からどう見ても……」


 サージェス

「血糊のせいで、普通のお医者さんには見えないって言いたいんでしょ? 俺もその感想には同意だねー。しかもほら、医者の医療用道具が入ったこのトランクの中……。見ると引いちゃうほどの小道具が揃っちゃっててねー……。窓から投げ捨てたい衝動を必死に堪えているところだけど、ほら、せっかく衣装や小道具を用意してくれた人に悪いでしょ? だから、極力中を見ないようにで何とか済ませてるんだよ」


 幸希

「私やレイル君には、そんな細かな小道具はありませんでしたけど……」


 サージェス

「まぁ、用意してくれた人の趣味か、はたまた真面目な人が凝りまくった末の結果か……。ちょっと微妙なところだけど、まぁ、それは置いといて……。ユキちゃん、せっかくのIFルートなんだから、例のアレをやっとかないとね」


 幸希

「えーと、指示にあったハロウィン定番台詞ですね。ちゃんとお菓子も……よいしょ」


 ――ドン!! と、何処から出したのか、大量のお菓子入りの箱をテーブルの上に置く幸希(笑)


 サージェス

「……何、これ」


 幸希

「ハロウィン用のお菓子です。これで、どれだけお菓子をねだられても、その全てに対応できます!」


 サージェス

「……そっかー。準備万端、悪戯フラグを全力で握り潰しにかかってるのはわかったよ。(どうしようか、これ。俺がユキちゃんに悪戯する為の手段が……)で、その箱のお菓子をユキちゃんに持って行くように勧めたのは……『誰』かな?」


 ――どこか黒いオーラを漂わせながら幸希の両肩を掴み問うサージェス(笑)


 幸希

「え? アレクさんと、カインさんと、ルイヴェルさんと……」


 サージェス

「うん、わかった。ちょっと後で皇子君からシメにかかるよ。……ちょっと横に座らせて貰うね」


 幸希

「は、はい」


 サージェス

「何故か俺だけ他の人達からの妨害が入ってるみたいだけど、そんな事、何の障害にもならない事を見せつけておかないとねー。というわけでユキちゃん。……トリック・オア・トリック」


 幸希

「え……?」


 サージェス

「お菓子を用意して貰って悪いんだけどねー……。ほら、俺にはIFルート仕様でユキちゃんとイチャイチャするという使命があるし、このまま平和に終わっちゃったら面白くないでしょ?」


 幸希

「そ、それって、ズルイ方法ですよ!! 結局、悪戯しか選べないなんて……」


 サージェス

「ユキちゃん……」


 ――とても真剣な表情で幸希を見つめるサージェス。


 サージェス

「大人の男は、基本的にズルい仕様だよ」(曇りのない笑顔)


 幸希

「Σ世の中の良識ある男性の皆さんに謝ってください!!」(半泣き)


 サージェス

「はいはい。後で世の中の男性の皆さんとやらには謝っておくから、悪戯はしっかりと、実行させてもらうよー。……ユキちゃん?


 ――即座にソファーから立ち上がり、ダッシュで扉に逃げようとする幸希。


 幸希

(大人しく悪戯なんてされるもんですか!! サージェスさんのはズルい方法だもの!! 絶対何かされる前にここから逃げなきゃっ)


 ――ダンっ!!


 幸希

「ひぃいいっ!!」


 サージェス

「はい、サンネーン……。扉は俺が手で塞いでるから逃げ道ないよ? トリック・オア・トリック……、悪戯しか、君は選べないんだからね。丁度、怪しくて危ないお医者さんの恰好もしてることだし、可愛らしい小悪魔さんを、じっくりと診察してあげようかな?」


 ――扉を開けようとした幸希の背後をとり、凄い力で扉を押さえ付けたサージェス氏(笑)


 幸希

「さ、サージェス、さんっ!! こ、声が……いつもより、低いんですけどっ。なんか、背中にぞぞーっと悪寒のような感覚がっ」


 サージェス

「あぁ。小動物の本能的な危機感じゃないかなー?」


 幸希

「しょ、小動物!?」


 サージェス

「うん、小動物」


 ――その後、幸希は逃げ場を失い、サージェスの悪戯を半泣きで味わう羽目になるのだった(笑)


 IFルート・サージェスティン 完。

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