いつもは閉めない第一ボタンを閉めて

        俺はお前の前に立っている


俺はお前が好きだった花を握りしめてお前に差し出す

                     お前は何も答えない

”今日学校で————”お前にどれだけ話しかけても

                     お前は何も答えない

”好きだ”と囁いてみても

          お前は何も答えない

俺がきつく唇を噛みしめても

        お前は何も言ってくれない


”——”


名前を呼んだ

      お前は何も答えない

風はまるでお前の代わりに返事をするように吹き抜けた


”俺は・・・弱いな・・・お前がいないだけでこんなに・・・なにもできなくなる”


お前にそっと触れればお前はひんやりと硬くつめたい


ああ   お前はもう  この世には      いないんだね

   お前の    身体はもう    この世には     ないんだね



俺は花をがくの所からすべて切り落とし茎だけになった花束をゴミ箱に捨てた


花だけがお前の周りに・・・

         墓石の周りに落ちている


俺は振り返らない    俺のために    お前のために


 俺は振り返らない お前を    一生泣かせないために



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