第八十七話 金

 きんで在りたくない


 誰が為にも光らず

 誰にも染まらぬ


 故に

 永久不変の象徴に祭り上げられ

 栄華の証として

 血を流してまで狩り集められる


 どれほど愚かしいと嘆けど

 金で在れば

 自らは何も出来ぬ


 我

 金と同じ川に在り 

 泥に塗れ

 ゆるゆると朽ちながら

 心より安堵する


 ああ

 金でなくて良かったと



【 了 】

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