第十五話 戻る

「ふうわりと、ぐいっと。違うように思えるんやろ?」

「うん」

「戻されることに、違いはおへんえ」


 くろがねの風鈴が。

 錆びたカーテンレールの下で生温い風を編んで、ゆるりと蜘蛛の糸を垂らす。


 まるで釣られる亡者のように。

 そこに。


 ……戻ってくる。


「七夕やね」

「うん」



【 了 】

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