カクヨムランキングの雑感

@Qtarou

第1話 全体について

 まず、人気作品への便乗宣伝になりかねないと感じてレビューは手控えていたが、やはりショートショートにおもしろいものが多い。

 既存のWEB小説サイトでは長期連載が注目度を累積しがち。商業媒体でもショートショートの発表の場は少なく、せいぜい小説雑誌で投稿を受けつけるところがあるくらい。こういうサイトの立ち上げ初期に粒ぞろいの作品が目立つのは自然かもしれない。


 ここで念のため、他の作者によるレビューが全て宣伝と主張したいわけではない。私自身、他の作者からのレビューをありがたいと思っている。自分がしないのは、単に自分自身を信じられないためという理由だ。

 そもそも作者がレビューやフォローをすると、たとえ節度をもったとしてもあたかも宣伝のように思われてしまうのは、非作者ユーザーの比率が少ない状況に問題がある。不適切なフォロー行為が公式で言及されていたが、必ずしも個々のユーザーの問題ではない。

 作者がユーザーになるのはコンテストというインセンティブがあるが、読むだけではユーザーになる必要がない。たとえば公式作品のいくつかをユーザーのみが読めるようにして、もっと読書目的のユーザーを増やせば、作者がレビューしても目立つことはなかったろう。

 しかし、コンテストのおかげで作品が集まったことで、読者が集まるインセンティブになっていると思いたい。このまま待って、もっと気軽に作者ユーザーもレビューできる状況になると良いのだが。


 長編作品は、たちあげられたばかりのサイトであるためか、テンプレートのどこに変化を入れるかという導入は少ないようだ。かわりに設定の時点で独自性がある、あえていえばキャッチコピーだけで導入として成立するような作品が興味をひく。

 そのままネタを主軸にして物語を転がすか、シリアスに転調してネタ冒頭を導入として消化するか、どちらが良いかという問題もあるが……これはまだ何ともいえない。作者側のひとりとしては後者がやりやすいが、人それぞれだろう。

 いまのところ読者とともに育っていくWEB小説においては、最初に完全に完結するよりは、新たなエピソードを更新していく方向性が良さそうだ。つまり、基本的に完結作品のみ受けつける既存の小説新人賞には出せない物語こそ向いている。

 いずれにせよ、おおいに参考になった。次回もしくは同種の企画があれば反省をいかしたい。


 最後に、諸般の事情でランキングから除外された人気作品については、その理由を濁すよりも、ジャンルがエッセイ・ノンフィクションでないことを理由にすべきではないかと思った。

 ダークファンタジーのようにホラーとファンタジー、時にはSFにも分類されうる物語はある。しかしフィクションとノンフィクションの境界は比較的はっきりしている。

 実際、コンテストに無関係なエッセイ・ノンフィクションに最初から掲載していれば、除外された人気作もランキングに掲載されたような気がする。

 はてな匿名ダイアリーの育児記事が最近も話題になったばかりだ。このままエッセイ・ノンフィクションのジャンルで気軽に告発できるサイトとして注目されるのも、ひとつの選択肢だと思わなくもない。

 だからこそ、ランキングから除外しつつも、いったん掲載したものを削除しない判断は素晴らしいものだと思っている。少なくともサイトへの信頼感は増した。

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