ダンボールのロボット

 僕はユウ君に作ってもらったロボットだよ。

 ダンボールの体だから動けないし喋れないけど

 こうしてものを考えることはできるんだ。


 今日もユウ君は僕と遊んでくれる。

 話す事はできないけど楽しいな。


 ユウ君はだんだん大きくなって

 僕と遊んでくれなくなっちゃった。

 僕はタンスの上に置かれっぱなし。

 でもユウ君が元気ならいいや。


 でもある日ユウ君はいっぱい荷物持って出て行っちゃった。

 どうしたんだろう?


 

 ユウ君ずっと帰ってこないなあ。

 寂しいなあ。


 あれ?

 なんか眠くなってきちゃった。

 どうしてだろう……?






 ふああ。

 どのくらい寝たんだろ?

 あれ、ユウ君?

 帰ってきてたんだ。

 でもちっちゃくなってる?

 なんで?



「ねえパパ、これな~に?」

「ん? ああ、これはパパが子供の頃作ったロボットだよ。懐かしいな。母さんがずっと取っといてくれてたんだな」

「へえ~。ねえパパ。これ僕にちょうだい」

「いいよ。大事にしろよ」

「やったー!」


 ああ、この子はユウ君の子供なんだね。

 ユウ君はもうパパになってたんだね。

 それじゃ僕とは遊べないね。

 でもユウ君の子供と遊べるから寂しくないや。


 ねえ、君なんて名前?

 って聞こえないよね。


「僕の名前はコウタだよ、よろしくねロボットさん」


 え、僕の声聞こえたの?


「お、ちゃんと挨拶したのか」

「うん。なんかロボットさんが喋った気がしたから」


 嬉しいな、気持ちが伝わって。


 それからコウタ君は僕と遊んでくれた。

 そして僕を持ったまま疲れて寝ちゃったよ。


「よっぽど気に入ったんだな」

 ユウ君はコウタ君に毛布をかけてあげた。

 そして


「子供の頃はありがとな、これからはコウタをよろしくな」

 ユウ君は僕にそう言ってくれた。


 うん。任せといて。

 それとこっちこそありがとうね。


「え、今ありがとうって聞こえたけど、気のせいか?……いや、本当にありがとうな。俺の友達」


 終

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