白々しい

「俺は潔白だ!」

「どこが白いって? 白々しい嘘以外はどこもかしこも真っ黒けのくせして」

「顔はしょうがないだろ。もともと地黒なんだから」

「顔だけじゃないわ。髪も黒いじゃない。ずっとホワイトヘアにしてたのに」

「上司に、黒に染め戻せって言われたんだよ」

「目も白のカラコン入れてたのに黒いわ」

「親に、鯖の腐った目みたいだからやめろって言われたんだよ」

「舌も黒いじゃない!」

「白い舌は不健康だよ」

「鼻も黒いわ」

「鼻が白かったら、シラケっちまう」

「耳が黒いのは?」

「ももくろと間違えたんだよ」

「眉が黒いのは?」

「俺は白眉ってほど出来がよくないよ」

「頬が黒いのは?」

「ホオジロとホオアカってがいるから、違うのにしたかっただけ」

「歯が黒いのは?」

「お歯黒だよ」

「まあ、よくもそこまでべらべらでたらめ並べられるわ。腹ン中真っ黒じゃない!」

「レントゲンで腹が白く写ったら、ヤバイって」

「もういいっ!」


 ばきっ!


◇ ◇ ◇


 ここまでしらっとやられると、さすがにしらけますわな。しらぬぞんぜぬの方がましかも。



【おしまい】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る