どうか幸せでいて

桐野雅

プロローグ

1




ドアを開けると、イヤホンを耳に突っ込んで勉強する男と、

ポテトチップスを片手でつまみながら、胡座かいてテレビを見る女がいた。



トイレに行こうとすれば、また違う男とすれ違い、

トイレにたどり着けば、床に座り込んでいる女がいた。


私はこの4人と共に過ごしている。


親とは2年もの間、会っていなかった。



会えるわけが、なかったのだ。

会ってはいけない、関係なのだ。


『死刑囚の相手をする』


それが私たちに課された、極秘任務。

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