第9話

 もうもはや確定的だ。本能的感覚でそう言える。

 マジか。マジなのか。

 そんな事あり得るのか。よもやこんな所でこんな驚きと感動に出会えるなんて。


 喜んで。そう言いたい所だが、あまりに二人の壁は大きい。

 どうする。だがどうするったってどうにも出来ない。どうにも出来ないのだ。

 だが君の努力はちゃんと届いている。それは間違いない。君のやっている事は無駄ではない。そう言ってあげたい。

 しかしそんな事を言えたとしても、果たして届けていい言葉なのかどうかは分からない。9割方確信してるが、残り1割だったとしたらあまりに滑稽だ。


「あっ」


 と思ってる所に彼女が来た。

 ……見てる。やっぱりすごい見てる。

 気のせいじゃない。


「いらっしゃいませー」


 いや、見過ぎだろ。こんなに目って合うものなの?

 もはや恋人の視線の合い方だろうが。

 恋が始まる所か、もう恋終わってるだろ。恋とかじゃないだろ。もう次のやつだろ。次の現場に着いちゃってるだろこれ。


「またお越しくださいませー」


 あー……行っちゃった。

 これ、どうなるんだろうな。

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