青い鳥

繋がれた手と手と手と

名前を書くことが裏切りになるから書けなかった

貝殻色の海月の夢を見ていました

空母が浮かぶ海の向こうから響いてくる学校のチャイムと

大人たちの声が耳の奥でざわめき立って

だから青い鳥を抱きしめて殺しました

窮屈な胸にぶら下がるロザリオの冷たさに似ていて

なんだか悲しい気持ちになった秘密の同盟

動かなくなった鳥を埋めて名付けた名前

彼女はきっと大空を渡って水面を駆けて地に潜るのだろうと

私の夢の中に旅立った彼女の瞳の中の

夢が浮かぶ泉の最中に私の顔が映っています

泣いている私を見ていると水面が色めき立って私を消すのでした

それから怖くなって埋めた鳥の名前も忘れました

そのお墓とは言えない何かもきっと踏み固められたのでしょう

散り散りとなり満ちる空母は未だに浮いていて

海月のようにほわりほわりと鳴くのです

離された手と手と手と

名前を書くことなく別れた秘密の同盟

天使様もいない空にはお星さまが輝いて

輝いているあまりで私はそれが死だと知ってしまいました

色んなものが死んでは死んで、生まれて死んで

いつか私もなんて考えた時に空母は沈んでいきました

もう大人たちの声が耳の奥でざわめき立つこともないままで

きっと私たちは変わってしまったのだろうと

青い鳥が私とわたしを見つめているのでした。

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