アイドルではありません。ただの声優でもありません。アイドル声優です!

煌木咲輝良由花

プロローグ

 それは、あるクリスマスイヴの出会いだった──。


 街中の大型ビジョンに映し出された少女の姿。それはCMの映像であり、彼女はアイドルである。

 画面の中のアイドルは、画面の向こう側にいる視聴者へと笑顔を見せる。

 その笑顔を見上げた少女は、アイドルになるのを夢見る少女だった。

 そう──アイドルになるのを夢見る少女「だった」のだ。

「私は、もう……」

 諦めた。

 諦めたはずだった──。

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