悪夢の日・謎の生物襲来

第13話

「今日、六月十三日にニュース番組にて事件発生、被害者は……」

遺体の共通点発覚から数日後、ニュース番組中に人が殺された。

死因は溺死、被害者は謎の細い生物に襲われた後何故か近くの川に入り溺死

被害者は他の男性スタッフが総がかりで止めれないほどの力を出したらしい、なお被害者はそこまで力のある方では無いとの証言

詳しい事は死亡解剖の後とする

「これらの事を踏まえて一班は今までの同様溺死事件の再捜査……」

私達四班は現事件の現場捜査班となった。

「卯月、海藤行くぞ」

志奏さんのいつもの言葉を合図に私達は動き出した。



「いいかげん疲れたっすよ」

 海藤がパソコンを閉じて目薬を差しながらごねた。

 現場捜査を開始してから三日、現場捜査は大方終了しており、私達は基本的にコンピュータ室で捜査資料を作成する作業にあたっていた。

 海藤がだらけていると志奏さんが立ち上がって

「なら何か買ってやる、何がいい?」

「キャビアで」

「海藤は生卵な、卯月は何かあるか? コンビニ限定で」

 私は慌てて立ち上がる

「あ、私が行きます」

「……そうか? じゃあミント菓子を頼む、でかいのしか無いからこれで」

 志奏さんから一万円札を受け取る

「先輩、俺肉系の弁当で」

「あんたよく肉が食べれるわね」

「先輩まだ食べれないんすか」

「……食べれないわよ」

「キャビアも頼みまーす」

「お前は黙れ!!」

 私は治安維持隊手帳を海藤の顔に投げつけた。

「行ってきます」

「先輩持ってかなくていいんすか」

「いいわよ、カードキーあるから」

「カードキーすか」

「そう」

 私は部屋を出た


 コンビニで志奏さんにミント菓子、海藤には軽い皮肉として半熟玉子入りの肉弁当などを買って治安維持隊基地の入り口でカードキーをかざした。

 しかしカードキーは反応しない。

 不思議に思い何度もかざしていると扉についている画面が点灯した

「……緊急事態につきカードキーの使用を停止しています、治安維持隊手帳を認証して下さい?」

 私は溜息をついた、手帳はさっき海藤に投げてしまった

 私は画面に向かって言う

「顔認証モードをお願い」

 画面に表示されたのは顔認証モードは停止しています、の文字

「……融通がきかないわね、開けなさいよ!」

 力を込めて殴るがさすが防弾ガラス、びくともしない

「隙間を狙いテコの原理で……」

 どうにかならないかとポケットを探ったら

「……あれ?」

 何故か手帳があった、急いで手帳をかざして中に入る

 基地には緊急事態を知らせる音と自動放送が流れていた、私は状況確認の為に走りながら放送を聞く

[緊急事態、解剖室にて火災発生、速やかに避難し]

 自動放送が途切れて割り込みが入る。 基地隊長の声だ

[緊急事態、解剖室にて謎の生物が出現、緊急レベル4、武器の使用を許可する、各個人の判断により生物を……めんどくせぇ!]

 隊長の事務的な声がいつもの威厳のある声に変わった

[やつの特徴は異常に細長い! 人間の腹さえも貫くから気をつけろ!

 殺してもいい、やつをこの基地から出すなぁ!!]

 私は志奏さんに連絡を取る為にポケットを探る、しかし携帯が無い。

「まさか……」

 私が海藤に投げつけたのは手帳ではなく携帯だったようだ

「手帳タイプにするんじゃなかった」

 そんな事を呟きながら走っていたら左方向から銃弾が聞こえた

「生物発見! 援軍を頼む!」

 声がした方に行くと細長い、まるでハリガネのような物が男性隊員を貫いていた。

 私は拳銃を取り出して構える

「発泡します!!」

 何度か打つが細長いその体には擦りもしない。

「くそっ」

 生物は男性隊員を完全に貫いた、男性隊員はもう死んでいるだろう。

 私はサバイバルナイフを取り出して生物に斬りかかる。

 しかし生物は私のナイフを綺麗に避けて左腕に刺さってきた

「痛っつ」

 左腕の痛みに怯む事無くナイフで生物を斬りつける

 生物は難なく真っ二つになったが腕に刺さっている方は動き続ける

「っだぁ!」

 生物はうねりながら私の腕に入り込んだ、ヤバイと思った私は生物が入り込んだ腕の穴に指を突っ込む

「あぁぁぁぁぁぁ!!」

 今までに無い痛みに叫ぶ事で何とか耐えながら生物を掴む事に成功した

 生物を腕から引きずり出して踏み潰す

「駆除……成功」

 肩で息をしながら服の端を破って腕に巻きつけ、縛って止血をしていると海藤が走ってきた

「先輩! 大丈夫すか」

「ちょっと大丈夫じゃないかも」

「とりあえず地下研究室に行きましょう、この生物は除去班に任せます」

「地下研究室……?」

 海藤が私を背負いながら

「被害が酷すぎるから緊急救護室になってるんです、早く力抜いてください」

「……お願いね」

 海藤に身を任せた瞬間眠気が襲ってきた。

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