化け物道中宵遊び
逃ゲ水
第一章 出逢い
第0話
獣道はようやく森の終わりに差し掛かり、昼下がりの明るい日差しと羊の声が届いてきた。やがて木々はまばらになって、道もしっかり踏み固められたものに変わっていく。もう道の先には村の門が見えていた。
門の傍らには少年が座っており、羊の番をしていた。羊は五、六頭で、固まって草を食べていた。
少年はこちらに気付くと、パッと立ち上がり飛び跳ねながら両手を振った。片手を挙げてそれに答えると、少年は振り返った。村の人々に知らせているのだろう。すぐに村中の人がひしめき合うように出迎えてくれるはずだ。
なんだか気恥ずかしいが、私はその瞬間が好きでもあった。
しかし、今日は様子が違った。いつまで経っても一人も姿を現さないのだ。少年も背を向けたまま首を傾げている。
一体何事だろうか。まだ私の出る幕ではないだろうとは思っていたが、念の為にすぐ動ける気構えはしていた。
やがて、門の前まで辿り着いた。少年がまた叫ぶと、一人の男だけが村の奥から現れた。その顔は、微妙な笑顔を浮かべていた。聞けば、同業者を自称する子供が来たとの事だった。
私は子供のような何人かの同業者を頭に浮かべながら、そこへ向かった。しかし、人垣の中にいたのは見たことのない顔で異国の服を着た少年だった。
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