第4話 歌と読み。
翌日彼女に起こされた時は、身体が震えた。
理性で抑える事無く抜いたからな。遅くに抜いた影響もあって疲れてるし、起きたら凄え近くに彼女居たからな。両手で俺の身体を揺らして、「朝ですよ」なんて言ってくれる。
この光景は今思い出してもにやけちまう。新婚夫婦ってこんな感じなんだろうなって、びびりながらも冷静に感じた。
俺の白濁を容赦なく蔓延させた硬めの紙は便所に流したから、恐らくばれていない。匂いで気付かれるのではと恐れたが、彼女にそれらしい様子はなく杞憂に終わった。
「朝ご飯、出来ているからよければ食べて」
って笑顔で言ってくれる。やっぱり発音は微妙に惜しい。でも、昨日よりは確実に上達しているって思ったな。
「ありがとう」
「今日は仕事があるから、余り一緒に居れないわ」
こいつ俺の事好きなんじゃねえのとか、臆面なく思ったわ。
「仕事何やってるの?」
「街で一番偉い人の、家のお掃除……?」
俺の質問に疑問符が付いて返されたのは、どうにも表現があっているのか解らなかったかららしい。
「メイド? 家政婦か?」
って聞いてみると、二つの仕事内容を聞いてきた。俺もよく認知していないが、家の掃除や雇い主の世話をする人って言っておいた。そんな感じ、と彼女が返してきた。
朝食は昨日食べたものと同じ感じだったと思う。如何せん初めて食べた食事以外はそこまで衝撃がない。
メイド姿を考えてみると、余り似合わないなあと思った。溌剌とした少女だから、ぶっちゃけ彼女のよく着ている前述した服装、それに類似したものが最も似合っている。俺の趣味に合う。
「街まで連れて行ってほしい」
と頼むと、彼女は笑顔で了承してくれた。
更に、「好きな時にここに帰ってきたらいいわ」との事。
そこで、やっと疑問を口にしようと思った。「何故俺をここに置いてくれるんだ」と。
すると、彼女は何でもないように笑う。
「何でって、あなただからだよ?」
「は?」
意味解らん。
何が言いたいのか、本当に解らん。
俺は、無条件で女性が好きになってくれる事や、弱みを見せたり、短期間で優しくしたりする程度で女性が堕ちない事を知っている。
だが、そこを面と向かって聞くのは俺には無理だ。あるかどうかも解らん機会を待つしかない。
彼女は俺を街へと連れて行ってくれた。
俺が最初、ここへ来た時歩いた道のような道を辿った。つまり、あの時反対方向へ向かっていれば街に出ていたのだろう。
どっちがよかったかなど、判断付く筈もない。
中規模な街だった。
日本家屋と中世ヨーロッパ(?)とかそこら辺を連想しそうな建物が入り混じっている、何とも珍妙な造りだった。人種も、色々入り混じっている。ただしアジア系の顔は見受けられなかった。アリスは、「あなたの顔は少ないわ」と言う。
もっと大きな街があり、そこはここ以上に発展しているらしい。アリスの話からは、大体明治程度には発展しているようだ。この街はそこまで至ってはいない。アリスの言っていた仕えている屋敷が、この街を支配している権力者らしい。まあ響きは悪いが、そこまで酷い主人ではないらしい。
曰く、確かに懐を肥やしているが民にも金が回るようにしている。働く者の給料の決定権は彼が持っているらしい。無論税金もだ。それでも貧富の差はそこまでないらしい。介護が必要な老人や、継続した治療が必要な病人への支出も惜しまないとか。
なんだ、普通に良い領主じゃないか、と思えば、そう言う訳でもない。
怒らせると、とんでもない、とか。
無意味な拷問、女性ならば輪姦をするなど、平気でやってのけるらしい。逃亡者は決して逃がさず、いつまでも追っ手を出し続けるとか。
話を聞いて、少し、と言うかかなりアリスが心配になった。もしも仕事でミスでもしてみろ。とんでもない事態になるぞ、と。
だが給料も良いらしく、女性一人で暮らすのは難しいのか? 少なくとも、半分養ってもらっているような身なので、厳しい事は言えない。
寧ろ、俺が働くと言う手もある。どこか適当に働いて、いや。労働経験などそこまでない。
――と言うか、永住前提で物事を考えていないか? 戻れるものならば戻りたい。だが、アリスと言う女性の存在は惜しい。
ううむ。
難しいな。
などと、戻る方法が解った訳でも、アリスを手に入れた訳でもないのに、どうでもいい事で悩んでいた。
「じゃあ、もう行かないといけないから、また後でね」
「あ、ああ。待ってるよ」
とか適当な言葉を交わし、俺はアリスを見送った。
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