テーマ「訪れ」お花はいかが?
「お花はいかが?」
逢魔時に花を売る。カゴの中には目利きの私が厳選した美しい花々。けれど本当はもっと高価な花を一晩ばかり買って欲しい。
「お花はいかが?」
「それじゃあ全部」
見覚えのあるお客様。近頃、毎日花を買う。
本当はあたしが欲しいのに言い出せないのかしら。そう思い、
「お客さんの望みはあたし?」
と媚びてみせると、
「バレていたか」
と申し訳なさそうに笑う。
「君が欲しい」
繋がれたその手は震えていた。
「はじめてなんだ」
「そ。でも買った以上はさいごまでちゃんとして」
見覚えのある花々で埋め尽くされた棺の中に横たわる体から魂だけ抜かれた。エスコートされて地獄へ向かう。
こんな最期。よくもないけど、悪かないわ。
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