良かった

木を切るために木を植える

そのために木を知っておく

木は詰(なじ)ったりしやしない

ただ植えられた場で伸びる


裏で切るため 表 抱く

そのかげで 中 吸い上げる

後に残ったものがある

裏や表や中のない


石の虚ろが

恣意で濡れ

無数の笑止

感電で

気は刈り取られ

文字となり

無数の酒場

陥没だ


愛しはせずにただ知った

必要だった体(からだ)牢(ろう)


でも君 僕を愛(め)でいなす

石にも木にもなれぬから


僕は君の犬で良かった


豚を食うため豚を飼う

そのために豚まなんでる

豚は少しも恨まない

ただ残飯を食べている


牛と寝るため人を抱く

そのなかで肉おぼえてく

皮は多くを語らない

ただ噴飯を包んでる


僕の残しを

豚が食い

一つの食事

繋がって

木を切り出して

卒塔婆にし

一つの墓場

陥穽だ


知ることなしの愛 追った

要(かなめ)の向こう跳びたくて


でも君のそこ痴れてきた

皮(かわ)な肉にも石の葉だ


君は犬や僕で良かった


↓曲

http://kyoku.meta-scheme.jp/works/Yokatta.mp3


↓動画

http://youtu.be/Jm3UrmgS1cM

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