真夏の読書

背中に書かれた文字を

あなたがゆっくり読み上げる

あなたの声を使って

あたしはあたしを読み解くの


ホワイトアウト

ホワイトアウト

ひろげられた頁は焼けそうで


ホワイトアウト

ホワイトアウト

文字はゆらり気化して陽炎に


後に残った白紙の絶頂

風がめくればまた…


線の引かれたアフォリズム

あたしは吐息で拾い読む

あたしの紙背 徹する

あなたのあなたを感じてる


ホワイトアウト

ホワイトアウト

真夏の読書は汗だくで


ホワイトアウト

ホワイトアウト

どちらのか分からない汗に濡れ


むかし挿んで忘れた栞

そこを開けばまた…


全部初めから

書かれてた

伏線、エピローグ、全部

読まれる真昼を

待ってた

閉じた表紙の中


ホワイトアウト

ホワイトアウト

二人の図書館は熱帯で


ホワイトアウト

ホワイトアウト

唸る空調も追いつけなくて


ホワイトアウト

ホワイトアウト

行と行とのあわい滲み出す


ホワイトアウト

ホワイトアウト

深意のあいだにまた行間が


狭間の谷を無限に落下

でも頂(いただき)もまた…


↓曲

http://kyoku.meta-scheme.jp/works/ManatsuNoDokusho.mp3


↓動画

http://youtu.be/F2fizj3cHNc

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