落城
地図が燃え上がる
赤く塗られた版図 燃え上がる
病んだ王政に
最後の亀裂が走る
銀の斧 携えた若者は
燐光に導かれ歩みゆく
祭壇の奥の隠し間
珍獣の皮の玉座で
老いた暴君は低く笑った
旗が翻る
“逆賊”の紋章が風はらむ
丘の頂に
甲冑は現れて陽をはじく
水晶の玉が映し出すのは
迷いなき侵入者の横顔
最初の城を落とした日
草原を抜けた風の香(か)
滴った汗を王は思った
城が燃え上がる
不落誇った壁が崩れ落つ
病んだ王国は
再生の陣痛に声上げる
破られた扉は崩れ落ちて
粉塵の中に影は佇む
爬虫の外皮がひろがり
老王の体を包む
魂で買った人外の肌
竜が現れる
尖塔を突き崩し宙に舞う
仰ぐ若者の
背にはしなやかな羽がのびる
逆光に身をくねらせた竜の
眼光はそこだけ赤く光る
閃光と風と劫火と
宙を切る斧のうなりと
最後の距離をつめる羽音が
斧がかざされる
竜のこうべが赤き地に落ちる
焦げた風の中
歓声は湧き上がり鳴り止まぬ
首がしゃべりだす
老いた男の首が嘲笑う
「手にした全ては
いつかお前を囲う檻となろう」
↓曲
http://kyoku.meta-scheme.jp/works/Rakujou.mp3
↓動画
http://youtu.be/GLKOb89u7d0
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