第5話 自衛隊について 5

 一気に四人も辞めたのには理由がある。

 一々1人ずつ辞めさせるのは時間の無駄だからである。

 我々4人は連隊長室で連隊長本人から辞令書を貰ったのだが

その一部始終が以下の通り。


1.制服を着た我々4人(白手袋着用)が、連隊長室の向かいの壁に整列して待機

2.佐官や尉官達(以下幹部)が、連隊長室までの廊下の両端に並んで待機

3. 副連隊長が来て、連隊長室の中で待機

4.最後に連隊長が来て、ようやく始まる


 ドラマみたいだゾ…


 なんかで見たことある光景だな…と思ったが、その時は「早く始めろよ」という気持ちだった。

 それと同時に「こんな経験は二度とできないだろうな」と思った。



 いま改めて考えてみると、「白い巨塔」というドラマの回診のシーンに似ているかもしれない。あそこまで極端ではないが。


 我々4人は、合図を貰ったら大声で「○○自候生、入ります!」と言い、10度の敬礼をして連隊長室に入っていく事になっていた。

 僕の番は最後で、横の3人は流れるように入室の挨拶と敬礼をして室内に入っていったのだが、僕は喉が潰れたような声だった為、すぐ傍にいる幹部たちに笑われたのである。

 

 笑ってくれたと考えるべきか?


 当時、教育隊では風邪が流行っていた。

 僕の区隊では、約40名の内、インフルエンザに罹り、隔離された者が1名、風邪 (以下感冒)で就寝していた者が3名ぐらいいた。

 僕も当時、喉がかなり痛かった為、そうなった訳である。


 我々4人は連隊長からお言葉を頂いた後、退出して廊下にいる幹部達に見送られて居室に戻った。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る