52区 〇✖ゲーム
私はものすごい勢いで階段を駆け上がって行く。
元々中学生の時から、ロードレースなどでアップダウンを走るのは得意だった。そういった理由もあり、トラックよりもロードの方が好きだったりする。その中でも駅伝が一番好きなのだが。
階段をものすごい勢いで駆け上がり、一番に3階の渡り廊下へとたどり着く。ちなみに私が来たのは南側の「×」の方。理由は簡単。ステージで私が立っていたのが、南側だったからだ。
私が辿り着いて10秒くらいすると、次々と他の生徒がやって来る。どうも、私は圧倒的に早かったようだ。あまり認めたくないが、スクール水着は邪魔なものがいっさいないので、脚がものすごく動かしやすい。
以前、麻子がハーフパンツでタイムトライをやろうとしていたのを、永野先生がランパンに着替えろと注意していたことがある。麻子も最初「対して変わらないと思うけど」と言っていたが、走り終わって違いを実感したようだ。
「はい、ここで50秒です」
下のステージから声が聞こえて来る。
それと同時に渡り廊下を男子生徒が封鎖する。何人かは制限時間をオーバーしたようだ。こっちの×側にざっと20人。向こうの○側にはこっちより少し多くの生徒が見える。
「それでは正解です。正解は……×です。お孫さんの名前は、しょうた君ではなく、しょう君です」
発表と同時に私の周りから喜びの声が湧き上がる……。のかと思っていたら、みんなまだ呼吸が戻ってないらしく、ぜいぜい言っていた。
「それでは第二問。ちなみに今度はこのステージを東西で半分に別けて○×エリアにします。そう! 正解だった×側のみなさん。今度は3階からここまで走って降りていただきます。今度は下りですので制限時間は40秒です」
その説明に私の周りから、ため息と絶望の声が上がる。
「体育教師、上原先生の娘さんが好きな食べ物はプリンである。〇か×か」
気のせいか。もうまったく知能とはかけ離れた問題になっている気がするのだが。
そう思いながらも私はそっと渡り廊下の階段側、男子生徒が封鎖のために立っているすぐ横に移動する。移動が終わると同時に合図の笛がなり、男子生徒がさっと道を開ける。
おかげでスタートの合図と同時に飛び出すことに成功した。これも悲しきランナーの習性と言わざるを得ない。
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