第3話 真夜中の再会
はっ!!!
私は飛び起きる
なんだったの、今の夢は・・
やけに現実味のあり、実体験したかのような感覚・・
そして 違和感
は?
ここはどこなの?
周りを見渡す。
見知らぬ部屋
なぜ?
崖から突き落とされた記憶は残っている。
だから、私は死ぬのだろうと思っていた。
仮に助け出されていたのだとしても、それを見逃す奴等ではないはず。
残念ながら、私が生きていられる希望など存在するわけがない。
そして、身体に感じる違和感
手を見る。
ゴツゴツとした手
以前見せてもらった親衛隊隊長の手に良く似た大きな手
そして、頭が軽い
腰まで届くような長い髪の存在が感じられない。
「鏡よ鏡っ!ここは一体どこ!?私はどうなってしまったの!!答えてよっ!!!」
私は、つい叫んでしまった。
小さい頃から付き従ってくれた、何でも知っている優しい使い魔。
初めて会ったときは手鏡だったのに、格が上がったとかで、私が王妃になれた頃には姿写しの大きさにまで大きくなっていた。
・・・・・・
何も起きない
それもそうだ。
王女は言っていた。
使い魔の存在媒体である鏡を完全に壊し、この世界にとどまれないようにしたと。
・・・・・・・・・・
改めて感じる喪失感
どうしたものかと、変わり果てた手のひらを見つめていると
「大変お待たせしました、王妃様。質問にお答えします」
!?
手のひらの上に、コンパクトが現れた
「鏡っ!」
「まず、ここはアークガンド大陸にあるミーレス村の宿屋ヤード内6号宿泊室です。王妃様。」
・・・・は?
混乱する私を尻目に、コンパクトは饒舌に話し出す。
「そして王妃様は、他人の身体へと憑依状態となっており、その人物の意識が無い・・今回は睡眠状態でありますが、その時にのみ身体の支配権を得られると言う特殊な存在となっております。」
・・・・・・え??
理解できぬ間に、意識が薄れ始める。
「王妃様、間もなくその者が目覚めるようでございます。再構築により能力は落ちてしまいましたが、私は常に王妃様のお側におります。必要とあらば、またお呼びくださいませ。」
溶けるように消えていくコンパクト
それを徐々にボヤけてゆく視界で確認した私は、
これからに対する大きな不安と、無くしたと思っていた半身を見つけた喜びを感じながら
そっと、意識を手放した。
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