第35話 王都での休日1

 トワが依頼された護衛任務まで一週間程の準備に時間が掛かるので、それまでは自由にしていてくれと言われてので、図書室に行こうとしたところをステラが声に掛けられた。


「トワくん、今日は暇?、暇だよね」


 こちらの返事を聞かずにステラは、トワの手を掴んで引っ張っていく。


 城門を抜けた辺りでようやく引っ張っていく速度が落ちたので理由を聞くことにする。


「どうしんだ、そんなに慌てて」


「トワくんとさしばらく会えないってきいたからね、ほら、こないだ約束してたデートをしようと思ってさ」


 ああ、そう言えばそんなこと言っていたな、冗談だと思っていたから忘れていた、護衛の件で王都を離れる事を知っている様だ、まあ祖父のロックから言われていたのだろう。


「あれは本気だったんですか?」


「ひどいな~、当たり前じゃないか」


 ステラは頬を膨らませて怒る。


「すいません、では私目にお付き合いしてもらえませんかステラ姫」


 なだめるために、トワが手を差し出すとステラは嬉しそうに腕に手を絡める。


「じゃあ、行こうねトワくん」


 機嫌が直ったのを確認して街に向かって歩き出す。


「トワくんこのお店入ろう」


 街に着いて少し歩くとステラがオープンカフェの店を指名する。


 店内で注文と支払いをしてからテラス席が空いているとステラにまた引っ張られていく、席に座るとステラはニコニコと上機嫌のご様子だった。


「何か良いことでも有ったのか?」


「えへへ、秘密」


 等と会話していたら、注文していた物をウエイトレスが運んで来た。


「う~ん、美味しい」


 頼んだケーキを食べて満面の笑みを浮かべるステラ、二人はケーキセットを頼みステラはパンプキンケーキと紅茶でトワはチーズケーキと珈琲をそれぞれ頼んでいた。


「そっちのケーキも美味しそうだね」


 珈琲を久しぶりに飲めて落ち着くトワにステラが言ってくるので、トワはまだ手を付けていないからフォークで一口サイズ切り分けて、フォークで刺してステラに差し出す。


「え、あ、はい、いただきます」


 ステラはフォークを受け取らずにそのまま口でフォークのケーキを食べた。


「おいしいです」


「そ、そうか」


 ステラは顔が赤くしながら答える、とりあえず珈琲を飲んで落ち着こう、ふと疑問に思っていた事を聞く。


「護衛を付けないでよく外出の許可が取れたな」


「え、護衛ならいるじゃないここに」


 ステラはトワを指差して言う。


「護衛が一人でいいのかお姫様が?」


「トワくん並の護衛を連れるのなら大所帯になるしね、お父様にも伝えてあるし大丈夫」


 その時何故か顔が引きっていたらしい。


「美味しかった」


 ステラは満足して店を出るとトワの腕に手を絡めてまた歩き出す、しばらく歩いて目的の店を見つけたのか入店すると、そこは服屋の様だがステラがここに何の用なのか聞く。


「ステラ、ここは男物しか扱ってないようだが?」


 ステラは別に男物を着ているわけではない、ボーイッシュの女性物をちゃんと着こなしている、今日も女性物のパーカーにショートパンツを着ている。


「トワくんの服を買いに来たんだよ、だってトワくんいつも同じ服を着てるじゃない、魔都に行くならさ、なん着か有ってもいいと思うよ」


 今トワが着ている服は汚物付着クリーナーが付いているために服はいらないのだが、確かに服を数着持っていれば怪しまれないと思い了解して入店しようとした時に誰かが声を掛けてきた。


「あ、トワさん」

「あれ、トワ?」


 振り返るとサクラとユーラがいた、二人は私服の格好をしている所を見ると今日は休みなのかもしてない。


「やあ、今日は休みか?」


「はい、まだバタバタしていますが、復興作業だと私達はお役に立つことがあまり無いので、休むように団長から言われまして二人はで買い物をと、あれ、そこにいるのはステラ?」


「や、やあサクラ、ユーラ、久しぶり」


「はい、ステラとユーラは同じ学校で同級生だったので、それでステラちょっとこっちに」


 なるほど、親しい間柄だから王女にフランクに接する事が出来るのか。

 サクラとユーラはステラをちょっと離れた所で何やら話し合いをしているが?


 少しして、三人が戻ってくる、ユーラとサクラは機嫌が良くて逆にステラは少し納得していない表情をしているが?


「お待たせしましたトワさん、さあ、いきましょう」


 ユーラがトワの背を押して入店するその後ろをサクラが付いて行く。


「も~、勝手に連れていかないでよ」


 ステラが抗議しながら入店する。


 女性が三人集まったら姦しいがトワは逃げる事は何より困難だと思うよのだった。 

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