第33話 国境沿いの都市

一悶着あったが、俺は無視して歩き出した。

二人も後を追ってくる。


「大体、女の子に詐欺師って何考えてるのよ!センスがないったらまったく!」

「ナマエ…ナマエヨンデ…ナマエ…」

仲間が脳筋と詐欺師か、先が思いやられるな。


それからの旅は比較的順調だった。

寝泊りできるところはないが、食料が足りなくなる事もなく

国境付近まで到着した。


「凄いな。」

「そうでしょう!城塞都市エジオは国を守るため、ウルム王直々に指揮されて

建設されたんです!!」

国境に沿うようにしてデカイ建物が立っていた。

万里の長城みたいで端がどこまで続いてるか見えない。


「城塞都市って言ったな。街なのか?」

「そうです。同盟後に中を改装して人が住めるようになっています。

と言っても、商売される方ぐらいしか住んでいません。」

だろうな、また戦争が再開したらたまらん。


とりあえず入り口に向かっていった。

「申し訳ありません。今はお通しする事ができません。」

「え?でも、この方は勇者で王からの認定証も…」

「我々も事情が分からないのですが、ワミ団長が誰も中に入れるなと。

大変申し訳ありません。」

中で何かあったか?

「ワミに会えないのか?」

「今現在、所用で出かけております。もうしばらくしたら戻られるかと。」


どうする?

しばらくすると戻ると言っていたし、ここで待つか?

「私が様子見てこようか?」

「お前が?」

「うん。体小さいからいろんなところに潜り込めるしね。」

その口ぶりは今まで同じ事やってきたな?

「じゃあ頼むか。無理はするなよ。」

「分かってるって!じゃあ行ってきま~す。」


そう言って詐欺師は飛んでいった。

「リュリュさん大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だろ。心配し過ぎだ。」


その後、たわいない会話やらをして時間を潰していたところに詐欺師が

戻ってきた。

「どうだった?」

「大変な事になってるかも。」

「何があったの?」

「竜が苦しがってたの。」

竜が?

「病気か?」

「さすがにちょっと見ただけじゃ分からなかったけど、あんな苦しそうな

竜は初めて見た。」


何かが起こってるのは当たったが原因と詳しい内容が分からんな。

「脳筋、竜の事について分かるか?」

「それが竜についての事はあまり知られていないのです。」

「どういう事だ?」

「竜は知能が高く、老齢の竜だと他の人種を圧倒するくらいの知性を持ちます。

しかもプライドも高いため竜騎士となるものを自分から選ぶのです。

竜騎士と竜はそこに確かな絆ができるのを認めて一体の兵となるのですが、

そのため相手の秘密をばらしてしまうような事を嫌うのです。」

ずいぶんな秘密主義だな。

「よって竜の詳しい生態を知っているのは竜騎士だけ。それは王ですら

例外ではないはずです。」


このままここで考えていても無意味か。

「プライドが高い竜があんなに弱ってる姿を誰かに見せるなんて絶対に

おかしいよ。」

しかし強行突破するわけにもいかんしな。

そう考えていると、強い風が舞った。


「勇者殿!?お久しぶりですな!」

竜が俺の近くに降りてくる。

「ワミか、久しぶりだな。」

「どうされましたかな?」

「いや、クアーズ王国に向かおうかと思ったんだが通してくれなくてな。」

「そうでしたか。では、私が向こう側までお送りいたしましょう。」

中に入れたくないのか?

「何が起こっているんだ?」

「我が騎士団の問題が少々。勇者殿に聞かせるほどの事でもございません。」


「でも、竜が苦しがるなんて凄い異常事態だよ?」

詐欺師が出てくる。

「…!妖精ですか。もしかして?」

「すまん。中の様子を知った。」

「…そうですか、場所を変えましょう。お乗りください。」


ワミに竜の背に乗るよう言われた。

脳筋がはしゃぎたがってるが、騎士団団長の手前抑えてるのが分かる。

俺も少し楽しみだ。

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