第10話 騎士団

宿を出て王宮に向かったのだが、門の前で止められた。

「ウルム王と話をしに来ただけなんだが?」

そう告げても通せないの一点張り。

脳筋に尋ねても分からないの返事しか返ってこない。

どうするかと思っていると、

「ここは小汚い盗人が入っていいような場所じゃないんだよ?」

諭すような上から目線の台詞が聞こえてきた。


「ガナガ団長!」

脳筋が反応した。

「アリア、こんなやつと一緒にいるのは辛かったろう?しかも王女様に

無礼を働いたと聞いてるよ。こんなヤツはさっさと国外追放にしてしまえば

いいんだ。」

「そのようなことをおっしゃらないでください。勇者殿はウルム王もレリア殿も

認められた方です。」

本人そっちのけで会話が始まった。


「フン!おおかた人のよいお二人を上手く丸め込んだだけだろ?

今日の正門警備は我が第5騎士団が担当で良かったよ。君のような

盗人を侵入させたとあっては恥以外の何者でもないからね。」

DEF63か…でこピンで瀕死かな?


少し物騒な考えを巡らせていた時、王が現れた。

「どうしたのだ騒々しい?お、これは勇者殿どうされましたかな?」

「ウルム王!このような下賎の者を勇者などと呼ぶのはお止めください!

品位が損なわれますぞ!」

そこに大臣もやって来て

「ガナガ殿、いくらなんでも口が過ぎますぞ?私は信じてますぞ、

ねぇ勇者殿?」

こいつ今のやり取り聞いてから出てきやがったな。


「ガナガよ、そうムキになるでない。勇者殿は一声で騎士たちを

圧倒できる強者だぞ?素質十分ではないか。」

「そんなもの第5騎士団以外の奴らに金でも握らせて…」

喋ってる最中にまた誰か来た。


「そこまでにしておけ。」

「おお!ワミではないか!」

「ウルム王よ、先ほど国境警備より戻ってまいりました。

しかし申し訳ありませぬ。今は挨拶より重要な事が…おいガナガ。

先ほど何を言おうとした?」

ワミとかいう男がもの凄いプレッシャーを掛けながらガナガを睨む。


「べ、別に?た、ただ僕の騎士団以外が雑魚にビビッたっていうだけだろ?」

コイツは脳みそが足りないのか?その台詞は火に油だろ。

「ほう?良い度胸だ。久々に手合わせでもするか?」

その言葉を聞いた王が言った。

「手合わせはいい案だな!では勇者殿とガナガの模擬試合と行こうか。」

何故そうなる!?

「俺はやらんぞ。第一勇者とやらに「やっぱり腰抜けじゃないか、

こんなのが勇者とかコレにビビッた騎士とか笑い種だろ。」半殺しに

すればいいか?」


【冷静沈着】とはなんだったのかという気もするがしょうがない。

腹が立つもんは立つんだ。

スキルに性格が変わる効果は無かったと思うが、口調や考え方が違うだけで

同じように変化していってるんだろうか?


「言葉を慎みたまえよ?半殺しと言ったか、出来ると思うのかい?」

「当たり前だろう。雑魚相手に手加減するのも難しいんだから半殺しくらいで

我慢しろよ。」

顔の血管でも切れたのかと言うくらい真っ赤になったな。

「その勝負受けてやろう!!楽に終わらせられると思うなよ!!!!」


そういうと早歩きで門をくぐっていった。

「勇者殿、初めましてワミ・アールトと申します。ところでよいのですか?

性格と武器の扱いにかけては問題しかないヤツですが魔法を使わせたら

それなりに厄介ですよ?」


ステータス見たから大体分かっている。

「なるようになるだろ。で?俺は準備やらどうすればいいんだ?」

「では、こちらへ」

大臣の後を付いて俺も門をくぐった。

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