第215話: エルフの暗殺者

エリシア視点


あーあ、最後の一人の洗脳も解除されちゃったかぁ。

こいつ鬱陶しいなあ。


確かここは、5番目に訪れた場所だったかな?

それにしても、邪魔をするのは一体誰?

あれだけの数を瞬時に諌めるんだもん、恐らく相当な手練れもしくは、大人数での仕業かな?

それとも他国からの援軍かな?

いやそれはないよね。だって、エルフは他族とは一線を置いてる種族だもん。だから選んだんだから。


うーん、まぁ、いいか。

一つの場所が奪還されようと、何ら痛手にはなりえないのだから。


それよりも、今置かれている事の対処をしないとね。


「洗脳の術者はお前か?」


見るからに強そうな人たちに囲まれてしまったんだよね!

私、絶体絶命!


「何の事だか分かりませんー」


取り敢えず惚けてみたんだけど、やっばり駄目だよね?


「しらばっくれないで下さい!貴女が実際に洗脳をして回っているところを目撃した人がいるんです!」


あちゃ〜見られちゃってたのかぁ、私もまだまだだねー。


2日程前の話だけどーー


各地のエルフ族の征圧があらかた終わって、私自身は拠点を作る為に人族の国を訪れていた。


そこで、少し調子に乗って洗脳祭りをしてしまったのが今の置かれている現状なんだと思う。

どうやら、冒険者ギルドから私の討伐依頼が出てしまったみたい。


「で、私はどうなるの?」

「まずはお前が操っている人達を解放しろ。素直に解放するなら、数年くらいの投獄で済むだろう」

「ふうん。嫌だと言ったら?」

「力付くで解放させるまでだ。洗脳なら術者が死ねば解除されるだろう」

「そうね。確かに私が死んだら洗脳している人達は元に戻るわね」


勿論正直に話すつもりはないよ。

普通に洗脳している者は確かに私が死ねば強制的に解除される。

だけど、洗脳の期間がある程度長いと、中途半端に解除され、それが自分の意思かどうか分からなくなるらしい。

更に、裏技を使えば解除されなくする事は実は可能だったりする。


うん、どうやらこの人達は、私を狩る事に決めたらしい。

困ったなぁ、私は非戦闘員なんだけどなぁ。


1vs6


冒険者として彼等がどの程度の実力なのかは知らない。

でも、そんな事は関係ない。

非戦闘員である私は、常に護衛用の従者を連れている。


「アンちゃん。殺っていいよ」

「了解マスター」


誰に発せられた言葉なのか?

何処から聞こえたきた言葉なのか?

包囲していた冒険者が、その正体を探そうと周囲に目配せしていたものの数秒で6人を物言わぬ屍へと変えた。


「ありがとアンちゃん♪」


アンちゃんと呼ばれた人物は、エリシアに一礼すると、そのまま姿を消した。


「さてと、今度はバレないようにしないとね。後、また依頼されたら面倒だから、冒険者ギルド上層部の誰かを掌握しておこうかな」


そういう場合は、洗脳ではなく、誘惑がいいんだよね。

私の誘惑は、性別なんて関係ない。

同性だろうが、私の魅力にかかればイチコロ。

意のままに操るという点においては、洗脳と何ら変わらない。

洗脳された者は、自我を失い。行動は制限される。

一方誘惑は、自我を何一つ失う事なく、ただ私に対して忠実な僕(しもべ)となる。

洗脳よりも魔力の消費は多いけど、ケチって何かあったら笑えないしね。


ちなみにアンちゃんは、エルフの女の子。

エルフ族征圧作戦遂行中に出会ったんだけど、中々に強い子だったから魅惑で私の物にしちゃった。

元から少々無口な点がたまにキズだけど、それも容姿も含めて可愛いから許してあげる。

という事で、これからも頼りにしてるよアンちゃん。

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