某所に投稿していたお題。

『遠い背中を想う頃』2009.10.25


あの日 あなたは振り向かずに

ただ真っ直ぐに歩いて 消えた

私は あなたの その背中を

ただ笑って 見送った


伝えようとした言葉は

伝えずに 背中に託した

いつかまた 逢えるようにと

あなたの背中に 黙って託した



この空の何処か向こうで

あなたは 笑っているでしょうか

同じでない でも 繋がっている

この空をあなたも 見上げているでしょうか


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『忘れられない声がある』2009.12.04


忘れられない声がある

忘れられない人がいる


恋人でもなく

友達でもなく


はじめから

どうにもならない関係だった




数年振りに聞いた

モニター越しの声に



胸が

ほんの少し 痛い


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『桜の下で君を待つ』 2010.02.19


桜が咲いたら、一緒に見に行こう。

そう約束してくれたのは、あなたの方でした。

私は、その日を楽しみに待っていました。

本当に、とても楽しみにしていたのです。



あなたは、酷い人です。

約束をしたまま、行ってしまうなんて。

守れないと知っていて、約束するなんて。

酷い、ひとです。


あの桜の下で、あなたを独り待つ私を、あなたは知っていましたか?

春の初めに咲いた一輪と、散っていく最期の一輪を、毎年毎年見つめる私を。

もう二度と来ないと解っているのに、それでも待たずにはいられない、愚かな女を。


あなたは、酷い人です。

一言、あなたの心を、想いを、はっきりと伝えて下さっていたら。

あなたを想い出にできていたのに。


酷い、ひとです。


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『桜の下の心を置いて』 2010.02.25


桜が咲いたら、一緒に見に行こう。

そんな約束を、君とした。

果たせない約束を、僕は、した。



あなたが好きだ。

そう、あなたに伝えたかった。

でも、言えなかった。――言わなかった。


あなたに、僕を憶えていて欲しかったから。



約束だけをして、僕は行く。

約束だけを残して、僕は逝く。

もう二度と戻れない場所へ――明日、旅立つ。





桜が咲いたら、一緒に見に行こう。


そんな約束を、君とした。

果たせないと知っていて、僕は、した。


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『あなたに逢いたい』 2010.04.17


あなたに逢いたい。

もう一度、もう一度だけでいい。

あなたに、触れたい。



胸の奥に、黒く煤けた恋がある。

終わった筈なのに、鈍く痛む、想いが残る。



あなたに、逢いたい。


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『冷たいあの人』 2002年


冷たいあの人の言葉のひとつひとつを

心に浮かべてては 投げ棄てた


好きだよと言ってくれたこともあったし

嫌いだと言われたこともあった

でも 大抵は

何も言ってくれなかった


ふたりでいたのに

ひとり 取り残されていた気がした



無口なあの人は 何も伝えてはくれなくて

わたしはいつも 途方にくれてしまっていた

ただ 差し出された手の暖かさを

信じるしかなかった

そして わたしには

信じ続けることが 出来なかった


あの人がわたしから離れて

ほっとしている 自分がいた

そのことが一番 辛かった



わたしは

あの人に愛されていたのか

そしてわたしは

あの人を愛していたのか

一緒にいた筈なのに

その答えが見つからなかった



どうしても

どうしても見つからなかった


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『桜哀歌』 2010.0513


あなたは、本当に酷い人。最期まで、言葉にしてはくれなかった。

ねぇ、あなたは、本当はどう思っていたの? 私の事を、好きでいてくれたの?

それとも私の、思い過ごし?

あなたが、言葉にしてくれなかったから。

私は、今でもあなたに囚われてしまったままなのよ?


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『ハヤブサ』 2010.6.14


帰りたい 帰りたい

ただ それだけだから


故郷ふるさとから 遠く遠く離れて

やっと解った

どれだけ自分が あの場所を愛していたのか


ここは とても冷たくて暗いけれど

あなたから届く小さな声が

帰り道を 照らしてくれる


「帰っておいで」と 呼んでくれる


だから



帰りたい 帰りたい

青く輝く あの星へ




長い長い 道程みちのりだけど

帰っておいでと あなたの声が

自分を呼ぶ声が 聞こえる


だから 帰ろう

故郷へ



燃え尽きてしまう 運命だけど

大丈夫だよ

小さな小さな 粒子になって

この星に 還るよ


 (探査機『はやぶさ』に心を寄せて)


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『あなたを殺してしまおうかと』 2010.11.18


どうしようもなく淋しくて、あなたを殺してしまおうかと思いました。

あなたさえいなければ、私の心の平穏は、きっと保たれるんじゃないかって。

そう思えてならなくて。

あなたを、殺してしまおうか――って。


そう、思ったんです。


きっと私は、狂っている。

私をそんな風にしたのはあなたなのだから。

あなたのせいで、私は——私は。

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