第63話 水虫

高校生の頃、同級生の女の子が

「実は私、水虫なんだよ」

と誰もいない教室で打ち明けてくれた時


え?水虫ってマンガの中とかだけに出てくる架空の症状じゃなかったの?

と十代にもなってアホなことを思っていた。


そんな私が三十代になって

出来てしまったのだ、水虫が。


痒くも痛くもない。

ただ、皮がむけ少しジュクジュクなところもあり

人には見せられない足の裏になっていた(まぁ足の裏なんて普段から人に見せないものだが)


市販の少々お高めの薬を塗ると、治ったかのように

しばらくは綺麗になる。


だがまたいつの間にか復活してるというしぶとさ。


「病院に行ったら、一発だよ」


なんて話も聞くが、そこまでするのは面倒くさいと


治った(ように見える)り現れたりを何年も続けた。


この水虫、右足にばかり出来て左足には出た事がない。

そして夫にも移らない。


なのに毎年律儀に私の右足には復活する。


それが今年の夏は出なかった。

あれ?そういえば今年は水虫出なかったなぁと思い

もう冬になっていた。


やった!治ったと思ったら

入院中に何故か冬だというのに復活し出したのだ。


かさぶただとか、めくれてる皮膚だとか爪などをむくのが好きなので

水虫もジュクジュクしていなければ

つい、皮膚をめくってしまいそうになる悪癖がある。


それに夢中になってしまうと、深爪ならぬ深皮膚(?)で

めくりすぎて痛い状態になってしまう。


ましてや入院中の退屈な時だと余計にやってしまいそうだった。


これはちゃんと治せという暗示だろうか。


そう思った私は冬だけど水虫と闘うべく

今更ながらに本気になったのだった。



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