儚い想い

――それは遠い遠い日のこと。


「もう 逢えないね」って

あなたは少し儚く 微笑ってた。

あたしは黙って

少し前を行くあなたの背中を

ゆっくりと追いかけた


手のひらは 重なっているのに。

あなたの気持ち

痛いくらいに よく解るのに。


ダメなの?

そばにいちゃ いけないの?

もう もどれないの?

ねぇ どうしてなの?


……愛して、いるの?


あたしじゃない ほかの誰かを

あたしじゃない ほかの女性を


 


……愛して、いるから?


きっと そうなんだね

あたしじゃダメだったんだね


黙っていても 解るよ。

だってあたし

あなたの考えてること よく解るから。

あなたのこと 大好きだから。


だから。

あなたのこと、少し憎んでもいい?

そしたら きっとやっていけると思うの。

この先、一人になっても。


もう 大丈夫だよ

ここであたしたち サヨナラだね


元気でね

……ばいばい。

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