4-9 本人より他者の感想
「魔理守、ポニー、終わったぞー!」
魔理守とポニーが買い物を終えてから30分程たって、やっと会計を終えて2人が待っていた店の出入り口に右手を上に振りながら駆け寄ってきた。
「すまねぇ! 待たせた!」
さすがに時間がかかり過ぎたと彼は両手を合わせて言う。
「そんな時間がかかったのは、何かあったんか?」
魔理守は、髪の毛を右手の指でクルクル撒きながら質問する。
「ブーメランをたくさん買おうとレジに行ったんだけど、他にも色々な戦法が思いついて、いろんな武器を買おうと思ってブーメランたくさん持ってて、手が空いてなかったから買い物かごを取りに行ったんだ」
「その後、武器を色々かごに入れていって会計に行ったら、マネカが足りなくて、倒したモンスターからドロップした素材を後で困らないように慎重に売ってやっと欲しい武器が買えた訳だ」
時間がかかった理由を事細かく勝利は2人に伝える。
「後ろに並んでる人達にちゃんと一言「待たせてすまねぇ」ってちゃんと言って置いたぞ!」
「それは偉かったな!勝利!」
魔理守は、グッと親指を立てる。
「魔理守も同じ場面ならそうするだろ? お前はぶっきらぼうな言動だけど、礼儀正しい良いやつだからな。そう言えば、SWに入る前からお前は悪魔になりたいって言ってたけど、本当に悪魔になるなんてな……」
「そんなおだてても何も出ねぇぞ! まぁでも、ありがとう」
魔理守は照れくさそうに笑を浮かべる。
「勝利、貴様も同じことを考えていたのか」
「疑問に思わない方がおかしいぞ。SWに初ログインの時、種族決めがあるけど、特定の種族になりたいって思ってても、その通りになれる訳じゃないし、悪魔族になる条件は強い闇の心やおっかない感じの狂人とかってSWの本や学校教科書に説明されてたんだよ」
魔理守のこの謎について勝利は顎に右手を乗せて考える。
「魔理守は悪魔のような強い闇を小1のころからずっと一緒にいるが、そのような感情は感じない……ただ、狂人ではあるがな……」
ポニーは、物心ついた時から、人の気を察する事ができる。正確には察してしまうので、人の心を読める。そんな彼でも魔理守の悪意や闇は感じない。ただし、狂人とは思っている。
「でも、魔理守の狂人は、自分本意な事じゃないんだよな……」
勝利は、彼の狂気を何回も目にしていて、それが邪悪なものではないことも分かりきっている。
「いやいや、俺はSWで悪魔になれたけど、元々のFWでは人間だし、俺だって悪意や欲望とかあんだが……」
「「いや、お前(貴様)は、そういう悪いものから、かけ離れた人間だぞ!!」」
2人同時に彼の性悪の部分を否定される。
「まてまて、俺はFWではお前らと同じにんげ──」
「貴様は例外だ! 自惚れるな!!」
「人間にはだれだって──」
「魔理守如きに魔理守の何がわかんだよ!? 主観で物事語るなよ!」
魔理守の自身への評価を、食い気味に否定される。数秒無言の時間が流れ、2人からじっと文句あるのか?と彼は言わんばかりに見つめられ、
「────はい。わかりました……」
魔理沙は無言の圧力に屈した。
「フンッ!! 分かればいいんだ! 分かれば! 過ぎた発言は人を不快にさせるぞ!!」
「魔理沙のことも何も知らずに、悪く言うような奴は、
ギロリと効果音が聞こえそうな目つきで、
「はい……申し訳ございませんでした……」
2人の威圧感に魔理守は心が折れ、頭を下げて謝罪する。
「よし。それじゃあ、魔道具屋に行くとしようか」
「おぉ、俺が買い物している間に2人で決めてたのか! よし行こう!」
2人の雰囲気が獲物に襲いかかるヒグマから、まったりとのんびりとしているウサギように急激に変わる。
店の出入りで3人のやりとりを、なんか面白いそうだと見ていた人達は、この奇妙な光景や凄い変化に内蔵がフワッとしたり体内がギュッとしたりしている。
「んじゃ、2人とも行こうぜ!」
ついさっきの恐怖体験がなかったかのように、魔理守は2人に次の目的地に行こうと声をかけ、3人は防具屋を後にした。
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